バラエティー番組、女性のメーン司会者ゼロに

「韓国のオプラ・ウィンフリー」は無理?」
『Go Show』終了で見た女性司会者の現状

バラエティー番組、女性のメーン司会者ゼロに

 昨年末、地上波テレビ局のあるトークバラエティー番組がひっそりと幕を閉じた。人気女優コ・ヒョンジョンが司会を務めた『Go Show』だ。同番組の終了が注目を集めたのは、これにより地上波テレビ局のバラエティー番組で女性単独でのメーン司会者がいなくなってしまったからだ。女性司会者としては『スター夫婦ショー、あなた~』(SBS)のキム・ウォニ、『世界を変えるクイズ~セバキ~』(MBC)のパク・ミソンがいるが、男性タレントとの共同司会だ。

 1990年代後半から2000年代初めまで『イ・スンヨンのSay Say Say』『キム・ヘスのプラス・ユー』『イ・ギョンシル&イ・ソンミの真実ゲーム』といった女性タレント司会のバラエティー番組が20%以上の視聴率をマークし、大人気を呼んだことを考えると「隔世の感」がある。米国でオプラ・ウィンフリー、エレン・デジェネレス、デボラ・ノービルといった女性司会者が長年単独で番組の進行を務めスーパースターになっているのとは対照的だ。建国後初の女性大統領まで輩出した韓国で今、なぜテレビ界で女性司会者の活動領域がますます狭まっているのだろうか。

 専門家らは第一に「この10年間、イ・ギョンギュ、ユ・ジェソク、カン・ホドン、シン・ドンヨプ、キム・ヨンマンら視聴率が確実に稼げる男性司会者5人にだけオファーが集中し、女性タレントに対する関心は下がり続けている」と話す。MBCのシン・ジョンス・プロデューサーは「韓国のバラエティー番組は出演者が主に芸能人なので、彼らに対し攻めの姿勢で追い詰めるトークが展開できる司会力が重要だ。そのため、男性タレントの方が有利だという先入観が制作者側にあるのだろう」と語った。

 『無限挑戦』『1泊2日』『男の資格』など、2000年代半ば以降急速に増えたリアリティー番組が芸能界の女性パワーを弱めていることも見逃せない。「厳しい環境で長時間にわたり野外ロケを敢行し、男性同士のリアルで飾らない会話がそのまま放送されるようになり、女性司会者は居場所がなくなった」というのだ。

 「ルックス至上主義」の強迫観念との指摘もある。ユン・ヨンミ・アナウンサーは「韓国社会のどの分野と比べても、女性に最も厳しく正当な機会が与えられていないのがテレビ番組の司会という仕事。女性司会者に対してだけは、若くてきれいでなければならないというルックス至上主義を当てはめているのではないかと思う」と話す。tvNのキム・ソクヒョン・プロデューサーは「韓国ではまだ女性司会者=きれいな女性という固定観念がある。だから女性お笑いタレントが羽目を外して一生懸命笑いを取ってもバラエティー番組の司会を務めるまでにはなれないのだろう。残念だ」と語った。

 一部には「男性タレント司会者はイ・ギョンギュ、カン・ホドン、ユ・ジェソクといったベテランたちが中心になって後輩を養成しているが、女性タレントはこうした若手養成の柱になる中堅の活躍があまりない」と分析する声もある。事実、女性タレントではイ・ソンミ、イ・ギョンシル、イ・ヨンジャ、チョン・ソニなど特に存在感のある司会者がいたが、家庭内の問題や個人的な問題でそれ以上には成長できていない。SBSのチェ・ヨンイン・チーフプロデューサーは「経験豊富な一部の女性お笑いタレントが活躍し続けていたとしたら、今の韓国の芸能界はさらに豊かな資産を手にしていただろう」と語った。

 放送関係者らは「繊細な感性を持ち、配慮できる女性司会者にはその役割をテレビ界で果たして欲しいのに、残念だ」「『癒やし』が注目を浴びている最近の社会文化的なムードを見ても、新たな女性司会者の発掘は切実」と話す。チョウンエンターテインメントのチョ・デウォン代表は「この5-6年、テレビ界を支配していた流れが男性的な毒舌だとしたら、今は女性的な価値が重視される時代へと変化しようとしている。テレビ局はソフトなカリスマ性を持つ女性司会者を思い切って投入し、新たな実験をすべきだ」と語った。ポップカルチャー評論家のコン・ヒジョン氏は「テレビ視聴者は男性よりも女性の方が絶対的に多いだけに、女性の立場をよく理解できる女性司会者は視聴者から大きな反響を得られるだろう」と見ている。

崔承賢(チェ・スンヒョン)記者
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