作品の質より宣伝優先、韓国映画界の実態

作品の質より宣伝優先、韓国映画界の実態

 韓国映画の広報・マーケティング費用が制作費全体の3分の1を占めている実態が映画振興委員会の資料で明らかになった。2007年から昨年まで5年間の韓国映画の平均制作費を見ると、マーケティング費用の割合が毎年30%を超えた。同委関係者は「今年のデータは年末に集計するが、数値に大きな変動はないだろう」と話した。

 マーケティング費用にはポスター、予告編制作費、劇場用チラシだけでなく、各種メディア広告、壁面・バス車体などの屋外広告も含まれる。映画の封切り前に芸能人や一般客を対象に行う試写会、俳優の舞台あいさつなどにもすべてマーケティング費用が充てられる。

 今年の場合、観客動員1000万人以上を記録した『泥棒たち』(チェ・ドンフン監督)は制作費150億ウォン(約10億9000万円)のうち50億ウォン(3億6000万円)、『王になった男』(チュ・チャンミン監督)は制作費約90億ウォン(約6億6000万円)のうち30億ウォン(約2億2000万円)以上がマーケティング費用だ。制作費としては少額の『建築学概論』(イ・ヨンジュ監督)も制作費42億ウォン(約3億1000万円)のうち、マーケティング費用に17億ウォン(約1億2000万円)を使った。

 低予算映画では作品の制作費よりマーケティング費用が多いケースもある。ベネチア映画祭でグランプリを受賞した『ピエタ』は本編の制作費1億5000万ウォン(約1100万円)に対し、マーケティング費用は7億ウォン(約5100万円)に達した。『折れた矢』(チョン・ジヨン監督)は本編の制作費5億ウォン(約3700万円)に対し、マーケティング費用に10億ウォン(約7300万円)を使った。

 投資配給会社は「映画を封切り後、1-2週間で興行に成功しなければ、劇場での上映継続は難しいため、攻撃的なマーケティングで序盤に観客を集めなければならない」と指摘した。ある配給会社関係者は「2000年代に入り、韓国映画が中興の時期を迎え、配給会社間の競争に火がつき、宣伝費用が30%以上に跳ね上がって以降、費用は下がらないままだ。どの配給会社も先には宣伝費用をカットできない状況だ」と説明した。

 「映画産業の規模が拡大するほど、マーケティング費用の割合が増えるのは自然な流れだ」という意見もある。しかし、一部からは「マーケティング費用は必要だが、総制作費の3分の1、本編制作費の2分の1に達するとすればゆがんだ分配構造だ。その資金を作品の完成度を高めるために使えば、韓国映画の質ははるかに向上する」との声が上がっている。

 米ハリウッドの場合、マーケティング費用の平均は3500万-3600万ドル(約27億8000万-28億6000万円)で、総制作費の35-40%(米映画協会データ)を占め、韓国と似ているように見える。しかし、世界市場で数億人の観客を相手にマーケティングを展開するハリウッドと最高1000万人程度の韓国国内の観客を相手にする韓国映画のマーケティング費の割合を単純比較するのは無理があるとの指摘もある。

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