ソウル株式市場でエンターテインメント関連銘柄の株価が急落している。業界大手のSMエンターテインメントの株価が14日から16日にかけ3日連続でストップ安を記録した。19日には2.4%反発したが、数日前まで7万ウォン台だった株価は4万ウォン台に急落し、時価総額にして6000億ウォン(約450億円)が吹っ飛んだ。ある証券アナリストは「エンターテインメント銘柄が信頼を回復するには1年間はかかるのではないか」と話した。
エンターテインメント銘柄は韓流やこれまでの企業実績などから長期的に有望との見方が大勢だったが、なぜ株価暴落を招いたのか。
専門家はエンターテインメント企業の不透明な情報公開、業界に対する理解が不足しているアナリストの業績予測が株価急落の原因とみている。
■情報公開不足
SMのケースでは、予想値を下回る業績に対する情報公開が不十分だったと指摘されている。
SMが14日に金融監督院に提出した四半期決算によると、第3四半期(7-9月)の営業利益は117億ウォン(約8億8000万円)だった。前年同期比で約70%の増益だったが、証券会社の予測を大きく下回った。証券会社のアナリストは200億~230億ウォン(約15億~17億円)の営業利益を予測していた。
営業利益が証券業界の予測を大幅に下回ると予想される場合、上場企業は業績ガイダンスを示すのが一般的だが、SMは決算発表まで情報を公開しなかった。
■収益構造が不透明
一度株価が急落し始めると、投資家がこれまで問題にしなかったエンターテインメント企業の不透明な慣行が指摘されるようになった。代表的な例が収益構造の問題だ。
JYPエンターテインメントは歌手Rain(ピ)=本名・チョン・ジフン=が買収したことで株価が急騰したが、ピとの契約条件がJYPの収益につながらない構造であることが判明し問題になった。これに先立ち、ファントム、ディ・チョコレート(上場廃止)なども所属芸能人と不公正な契約を結んでいるとされた。
最近になっても同様だ。SMの子会社、SM C&Cはカン・ホドン、イ・スグン、キム・ビョンマンなど大物芸能人と契約しているが、契約金の金額は明らかになっていない。アナリストがSM C&Cを分析する上で情報には限界がある。
そうした情報不足で投資心理が悪化し、エンターテインメント銘柄が一斉に急落したというのが専門家の見方だ。14日にはYGエンターテインメントが13.9%安、SM C&Cが14.4%安、JYPエンターテインメントが4.6%安となった。
■アナリストの理解不足
エンターテインメント業界関係者にも反論がある。アナリストの大半が東方神起、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)の日本でのドーム公演費用急増を予想できなかった点について、アナリストがエンターテインメント業界の特殊性を理解していないと指摘する。
ドーム公演費用の急増は営業利益が期待に満たない要因となった。業界関係者は「もともとコンサートはカネにならない。アナリストは原価率を細かく分析せず、大雑把に予測したのではないか」と話した。
■株価上昇の反動
エンターテインメント銘柄は年初来株価が急騰していた。景気低迷で企業業績が悪化する中、成長銘柄が見つからない機関投資家がエンターテインメント銘柄の将来性を過度に楽観した結果、業績に比べ株価が上昇し過ぎたとの指摘もある。
■機関投資家が一斉売り
こうした要因から機関投資家はエンターテインメント銘柄に対する持ち株を一斉に売り始めた。機関投資家は14日からの3営業日でSM株を1116億ウォン(約84億円)売り越した。