「(ドラマに)見入っていると、突然流れに合わないシーンが出てくる」
最近、ドラマの公式ウェブサイトに視聴者からこんな不満が寄せられるようになった。露出度の高いベッドシーン、俳優の歌、プロダクト・プレイスメント(番組内で商品を使用する間接広告)など、ドラマの全体の流れを損なう唐突な設定や場面があふれているためだ。
今月10日に放送されたSBSの歴史ドラマ『大風水』では、何の脈絡もなく男女の助演俳優のベッドシーンが20秒ほど流れた。二人が深い関係になったいきさつは全く伝えられていなかった。18日には、情事の最中に刺客の襲来を受け、慌てて布団で体を隠す男女の端役も登場した。ドラマの公式サイトには「扇情的なシーンで視聴者を釣ろうとしているのか」「どうしてあの場面が必要だったのか納得いかない」といった指摘が寄せられた。
KBS第2のドラマ『優しい男』では先月20日、カン・チョコ(イ・ユビ)がトイレで歌手IUの「Good Day」を歌うシーンが流れた。イ・ユビが披露した「3段ブースター」が話題になったが、ドラマのサイトでは「男女主人公の暗闘が緊迫する中、唐突な歌で時間を無駄にした」など厳しい評価が多かった。「女優がドラマの制作会社に所属していて、会社側が女優を目立たせようとわざと入れたのでは」と陰口をたたかれる始末だった。
また、8月に放送が終了した『紳士の品格』で登場したコリン(イ・ジョンヒョン)が母親と日本語を混ぜて話すシーン、MBCの『メイクイーン』で今月21日に放送されたマッコリ(韓国式濁り酒)飲み比べのシーンも「なぜあえてそんな設定にするのか理解できない」「全体の流れとかけ離れている」などと批判の声が大きかった。
こうした状況に対し、ソウル芸術大学のキム・スンス教授(元MBCプロデューサー)は「制作陣としては視聴率を上げるため、唐突でも話題になるシーンを入れなければならない面がある」と説明した。海外での放送やプロダクト・プレイスメントなどを考慮し、やむを得ずドラマの流れを乱すケースもあるということだ。
また、ある地上波ドラマ局の関係者は「放送時間が50分くらいなら要点だけを盛り込めばいいが、1話64分になるとさまざまな見せ場を入れざるを得なくなる」と話した。
ドラマ評論家のコン・ヒジョン氏は「唐突な歌自慢や日本語のせりふは、企画会社が所属の新人を目立たせるため制作陣に頼んで作ってもらったシーン」と説明する。「ドラマの制作陣が惰性に流され、必ずしも必要でない、役柄や流れに合わないシーンを入れるケースも多い。商業的な要素はドラマの流れを乱さない範囲で入れるべきだ」と指摘した。