中国人留学生、「韓国の美」感じる安東旅行

中国人留学生、「韓国の美」感じる安東旅行

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された河回村や屏山書院といった観光地が多いことで知られる慶尚北道の安東。ここには韓国の精神文化の源とでも言うべき伝統的な儒教文化などの文化遺産・遺跡が今も残っている。

 安東大学に留学中のリウ・ジンシャオさん(機械工学科4年)は最近、韓国文化に興味を持つようになった。中国で韓流ブームが高まっているため、自国の友達から韓国について聞かれることが増えたからだ。しかし、韓国の伝統文化を知る機会がほとんどなく、答えに詰まることも少なくなかった。

 リウさんは友達に韓国の美しさを伝えるため、同じ大学の友人チョン・インさん(経営学科4年)と一緒に旅に出ることにした。韓国で旅行するのは初めてという2人は、安東の知られざる観光スポットを訪ねたり、伝統文化を体験してみたりしようと決めた。

 最初に2人が向かったのは、大学から1時間ほどの距離にある「晩休亭」だ。安東市吉安面黙渓里にあるこの建物は安東の隠れた名所で、自然の美しさが満喫できる空間だ。

 人里から10分ほど歩いただろうか。2人の目の前には涼しげに流れ落ちる滝が現れた。そして滝の上には2人の最初の目的地であるあずまや「晩休亭」が見えた。これを見たリウさんは「一幅の水墨画を見ているようです」と感嘆の声を上げた。

 この建物は自然の景観を壊すことなく、周りの景色に溶け込んでいる。まるで見事な絵の構図を見るかのように自然なたたずまいだ。滝の上はツタが天然の囲いを作っており、その間から静けさをまとった晩休亭が見えた。

 晩休亭の前には丸太を割って作られた橋が架かっていた。こうした文化財としてのあずまやは普通、一般公開されていないが、ここは誰でも自由に出入りできる。

 軒下には漢字で「晩休亭」と書かれた扁額(へんがく=伝統建築物や寺社名、創立者の思いが記された額)が掛かっている。部屋には「吾家無宝物 宝物惟清白」という扁額もある。これは「私の家に宝物はないが、あるとすれば、それは清らかさだ」という意味だ。

 これを見たリウさんは「これ以上の宝物はないでしょう。清らかさこそ宝だというなら、ここは宝物です」とほほ笑んだ。2人は橋の上で記念撮影をして、裏の大きな岩に向かった。この岩はまるでカーペットを敷いたように平らだ。するとチョンさんは驚いて「この場所、ドラマで見ましたよ!」と大きな声を上げた。

 ここは昨年放送され大ヒットしたKBSの特別企画ドラマ『王女の男』のロケ地なのだ。首陽大君の娘と金宗瑞(キム・ジョンソ)の息子が互いの愛を確かめ合った場所がこの場所だ。チョンさんは「ドラマで見た景色はとてもきれいでしたが、ここだとは思いもしませんでした。まるでドラマのヒロインになった気分ですね」と目を輝かせた。

 次に2人が向かったのは「佳日村」。ここは安東を「権氏」一族の発祥地とする「安東権氏」が約600年間にわたり同族の集落を作り暮らしている所だ。そのためか、村の随所に儒教思想と合いまった高尚な両班(官僚階級)一族の気品が漂っている。

 2人がここに来たのは、由緒ある伝統家屋で一晩過ごすためだ。この場所は両班一族の伝統様式を守っていることで有名な「河回村」の入り口に当たる。村の端には大きな池があり、裏手には「井山」が鳥のような形になって村を取り囲んでいる。特に目を引くのは、池の前に立つ大木だ。

 伝統家屋に向かう途中でその大木を見たリウさんは「木に竜がいる!」と叫んだ。チョンさんは「中国では村の入り口に『牌楼』という門を建てますが、韓国では木なんですね。竜が刻まれた木を見たのは初めてです。本当に不思議」と驚いていた。

 そうして村に入り、伝統家屋「樹谷古宅」に着いた。この家は約220年前に建てられ、2009年1月に安東の社団法人「慶北未来文化財団」が管理することになり、宿泊利用ができるようになった。庭から母屋まで行くには、石段を3カ所も登っていかなければならない。

 この伝統家屋は居間として使われる「かぎカッコ型」の建物と 「コの字型」の母屋がつながる珍しい構造になっている。ほんの小さな空間でも無駄が全くない。これを見たチョンさんは「昔の韓国の人々は知恵が豊かで賢明だったのでしょう。無駄なスペースが一つもなく、本当に素晴らしいですね」と感心した。

 伝統家屋で一晩過ごした2人は翌日の早朝に「陶山書院」に向かった。これは陶山面土溪里にある書院で「李退渓(イ・テゲ)」としても知られる儒学者・李滉(イ・ファン)が弟子を教育したり学問を磨いたりした建物だ。書院とは朝鮮王朝時代に儒教を教えた学問所のことで、各地方の大学に当たるといえる。

 書院を見たチョンさんは「思ったより質素ですね。昔の韓国の学者たちの質素さが伝わってきます」と話した。

 書院の中央にある「典教堂」(宝物第210号)を見ていたリウさんは「扁額が本当に素晴らしい。ほかの建物の筆跡と違い、力が感じられます」と語った。リウさんが言う通り、典教堂の扁額は朝鮮王朝時代の第14代国王・宣祖が書家ハン・ホ(別名:韓石峰〈ハン・ソクポン〉)に書かせたと伝えられている。

 2人はこの書院を最後に、今回の旅行を締めくくった。旅行を終えたチョンさんは「安東というよりも韓国の美しさを見て回ったような気がします。思い出に残る旅になりました」と感慨深げだった。

 リウさんも「これまでは中国にいる友達にうまく説明できませんでしたが、今回の旅を通じて韓国の伝統美について話せるようになり、胸がいっぱいです」と明るく語った。

中国人留学生、「韓国の美」感じる安東旅行

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