「驚異の存在感」 ドラマ脇役たちの演技光る

テレビも「サブキャラ全盛時代」-基本しっかりした演技、主演級の比重
ストーリーで重要な鍵、1本当たりの時間長い韓国ドラマに不可欠

▲グラフィック=キム・ヒョングク記者、写真提供=KBS・MBC・SBS
▲ ▲グラフィック=キム・ヒョングク記者、写真提供=KBS・MBC・SBS

 『犯罪との戦争』の悪玉検事チョ・ボムソク(クァク・トウォン)、ヤクザの行動隊長パク・チャンウ(キム・ソンギュン)、『建築学概論』の浪人生「ナプトゥギ」(チョ・ジョンソク)…。今年ブームを巻き起こした韓国映画で深い印象を残した脇役たちだ。彼らは主演ではないが、興行に一役買うことで「脇役全盛時代」を切り開いた。

 同様の傾向は最近、テレビドラマでも顕著になっている。「サブキャラクター全盛時代」だ。サブキャラクターとは、主人公を支える脇(サブ)の登場人物という意味で、ドラマ視聴者がインターネットなどでよく使う言葉だ。サブキャラクターを演じる俳優のほとんどは、その名前だけで話題を集めるようなトップスタークラスではない。だが、存在感の薄い脇役だと片付けてしまうことはできないほど、ストーリー上でかなりの比重を占める。ストーリー展開の重要な鍵を握る人物として浮上したり、味のあるしっかりとした演技で視聴者の目を引きつけたりして、注目を浴びている。

 その代表的なドラマがSBS『追跡者THE CHASER』だ。特に、女性サブキャラクターたちの活躍が目立つ。大統領候補カン・ドンユンの妻ソ・ジス役を演じているキム・ソンリョンは、悪女をリアルに演じている。視聴者掲示板には「キム・ソンリョンは今や『元ミス・コリアの女優』という形容詞を完全に捨て去った」と絶賛の声が相次いでいる。カン・ドンユンの秘書シン・ヘラを演じるチャン・シニョンも、カン・ドンユンを裏切り、ストーリー展開に大きな影響を与える登場人物として浮上した。ドラマ評論家でもあるユン・ソクチン忠南大学教授は「秘められていたシン・ヘラの欲望が浮き彫りになり、まかり間違えば『父親の復讐(ふくしゅう)劇』という単調になりがちだったドラマ内容に厚みが出た」と話す。

 視聴率40%以上をマーク、全番組視聴率1位の座を守っているKBS『棚ぼたのあなた』は、チョン・ジェヨン役のイ・ヒジュンとバン・イスク役のチョ・ユニが役名の頭文字1文字ずつを取って「チョンバン・カップル」と呼ばれ注目されている。一緒にバラエティー番組に出演したり、CMに出たりと人気急上昇中だ。SBS『紳士の品格』では主演チャン・ドンゴンをはじめキム・スロ、キム・ミンジョン、イ・ジョンヒョクの「花の中年組」が40代男性のファンタジーを面白おかしく描いている。視聴者は「ただの『おじさん』だと思っていた40代男を見てこれほど胸がときめくとは」「誰が主演で誰が脇役なのか分からないほど」などと感想を寄せている。

 KBS『カクシタル』のファンは、シン・ヒョンジュン演じるイ・ガンサンを「カンサンタル」と呼び、チュウォン演じる主人公イ・ガントのニックネーム「カントタル」と対比させている。イ・ガンサンはイ・ガントが「カクシタル」に変身するきっかけを与えることが多い役。演じるシン・ヒョンジュンは間抜けな面と独立闘士としての面を合わせ持つこの役を見事な演技力で表現、視聴者を引きつけ、ニックネームまでもらったというわけだ。

 クァク・トウォンはドラマデビュー作のSBS『幽霊』で刑事クォン・ヒョクジュを演じている。カリスマ性を持つ執念深い刑事という設定にリアリティーを持たせ、「名脇役」の仲間入りした。SBSの公式掲示板には「本物の刑事みたい。そのうち名誉警察官にでもなるのでは」という書き込みがあるほどだ。映画『アジョシ』で悪役を演じたキム・ヒウォンは、MBC『光と影』でカン・ギテ(アン・ジェウク)の側に付いたり、その敵であるチャン・チョルファン(チョン・グァンリョル)の側に付いたりするヤン・テソンを演じ、「コウモリ的なキャラクターの神髄」と絶賛され、バラエティー番組にも出演した。

 このように、サブキャラクターたちが脚光を浴びている理由は、やはり演技力にある。ユン・ソクチン教授は「主演に演技力がやや欠けている場合、折り紙付きの演技力を持つ俳優をサブキャラクターに当て、バランスを取るケースが多い」と語った。ク・ボングンSBSドラマ本部長も「現実的に見て、人気もスター性も持つ俳優をサブキャラクターに当てるのは難しいので、役の魅力が表現できる演技力を持つ俳優をキャスティングすることになる。韓国ドラマは1本の放映時間が約63分で、45分前後の外国ドラマに比べ非常に長い。主演の話だけでは緊張感を保ちにくいため、サブキャラクターを増やし、その比重も大きくなる」と説明している。

チェ・ミンギ記者
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