『キャッチ・ミー』主役アイドル5人の評価は?

記者が5人の舞台を全て鑑賞、演技に大きな差

▲3月28日にソウル市竜山区漢南洞の「ブルースクエア」で開幕したミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』は、主人公のフランク役を5人の俳優が交代で演じ、それぞれ全く違う舞台を見せている。/写真提供=Mミュージカルカンパニー
▲ ▲3月28日にソウル市竜山区漢南洞の「ブルースクエア」で開幕したミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』は、主人公のフランク役を5人の俳優が交代で演じ、それぞれ全く違う舞台を見せている。/写真提供=Mミュージカルカンパニー

 主人公1人に5人の俳優、異例の週12回公演―。SMエンターテインメント所属のアイドル(キュヒョン、KEY、サニー、ダナ)が多数出演することで話題を集めていたミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(ワン・ヨンボム演出、以下『キャッチ・ミー』)が3月28日に開幕した。『キャッチ・ミー』は1960年代に、飛行士、医師、弁護士などと身分を偽って米国社会を欺いた実在の人物のストーリーだ。昨年のブロードウェー公演では、刑事カール・ハンラティー役のノルベルト・リオ・バーツがトニー賞の主演俳優賞を受賞するなど、刑事役に重きを置いた構成となっていた。だが、韓国公演では、主人公のフランクに、ショーの面白さを全面的に依存している。このため、どのキャストの公演を見るかによって、満足度が大きく異なってしまう。

 そこで記者は、主役5人の公演をすべて鑑賞することにした。3月28日のオム・ギジュンの公演を皮切りに、John-Hoon(キム・ジョンフン)、パク・クァンヒョン、キュヒョン、そして1日午後7時からのKEYの初公演まで足を運んだ。

■全体的な感想

 『キャッチ・ミー』は、レオナルド・ディカプリオが主演した同名の映画(2002年)の内容に忠実に制作されている。だが、だましたり、だまされたりといった、絶妙な追撃ドラマを期待しているとがっかりする。父や母の愛情に飢えていたフランクの様子は感じられず、暴れん坊のおろか者として描かれる。ブロードウェーのミュージカルショーで見られた華やかさや生き生きとした様子の再現というにはやや物足りない。その物足りなさを埋めるのは、刑事役にダブルキャスティングされたキム・ボプレだ。彼がアンサンブル(主役以外の大勢の出演者)とともに歌う「法は守るためにある」は、ショーミュージカルの楽しさを味わわせてくれる。

 ミュージカル俳優として最も大きな可能性を示したのはサニー(少女時代)だった。フランクの恋人で看護師のブレンダ役を演じ、愛嬌(あいきょう)を誇張したり大げさな演技をこなすなど、十分な力量を見せた。一部の動きに未熟な部分もあったが、役に対する解釈の仕方がよく分かっているという点で、今後の成長に期待を抱かせた。

■オム・ギジュン…演技に説得力

 俳優デビュー17年目という経歴が無駄ではないことを示してくれた。ずうずうしくもしらじらしいフランクを、説得力ある演技で描写する。ほかの俳優たちが演じるときには笑いが起きない部分でも、オム・ギジュンが演じると笑いが沸き起こる。うそを重ねてさまざまな困難を切り抜けるというストーリーの面白さが、十分に生かされている。ダンスにやや課題がある点が残念だ。

■John-Hoon…ぎこちない演技

 John-Hoonが登場すると、座席数1000席の大劇場の舞台が、ただの広い平原に変わる。表情はわずか2種類。ほほ笑みを浮かべながら歌うときの表情と、せりふを口にする相手俳優をじっと見詰める顔だけだ。ほとんどのせりふが劇に合っておらず、力なく宙をさまよう。テレビでの演技と異なり全身で積極的な表現をしなければならないのに、舞台を掌握できずにぎこちない演技になっている。

シン・ジョンソン記者
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