全羅北道益山市は100年に及ぶ韓国の鉄道の歴史上、忘れてはならない場所だ。その理由は、4路線が交差する鉄道交通の中心地だから。
ここは韓国高速鉄道(KTX)でソウルから約1時間の距離にあり、さらに湖南線・全羅線・長項線も合わせ四つの主要路線が行き交う。最近では「2012麗水世界博覧会(麗水エキスポ)」を列車で訪れる観光客もここに立ち寄るため、同市の観光スポットは活気にあふれている。
益山は「宝石の都市」と呼ばれている。韓国で唯一の宝石博物館があるからだ。王宮のテーマ観光地内にある博物館では、11万8000点余りの美しい宝石や化石が待っている。
博物館に入ると、真っ先に目にするのは宝石の歴史。高句麗・百済・新羅の三国時代(7世紀ごろまで)から朝鮮王朝時代(1392-1910年)まで続いた、誕生月の宝石「誕生石」を身に着ける風習などが目を引く。次の展示館にはクリスタルやアクリルなどで製作された仏像があるほか、数々の宝石をモザイクのようにはり付けた「五峰山日月図」も。同図は17種・約4万8000点の宝石を使って作られているそうだ。
また、宝石2600点余りで飾られた「宝石の花」や世界各国から集めたさまざまな宝石も展示されている。3月に始まったこの展示は益山を代表する文化財をかたどったもの。作品に使われた純金の量は7725グラムと1792グラム。黄色いライトに照らされ、華やかさはもちろん、壮大さも感じられる。
展示館を見学した後で向かったのは「弥勒寺址」だ。史跡第150号に指定されており、武王と善花姫の物語で有名だ。また、国宝第11号で東洋最大規模の弥勒寺址石塔や、宝物第236号の弥勒寺址幢竿支柱がある。
弥勒寺は新羅時代の最大の寺「皇竜寺」(約1110平方メートル)よりも大きい約1283平方メートルで、韓国最大規模の寺院と言える。展示館内部には金銅製舍利外壺や金銅風鐸、鴟尾などがあり、百済の文化に触れることができる。
展示館の外では現在、復元作業中の現場がある。芝生を歩きながら百済の息吹を感じるのも新鮮な経験だろう。
最後に向かったのは、益山を訪れたら必ず行きたい「熊浦津(コムゲナル)観光地」だ。ここは「西海落照(黄海の夕日)五秘境」の一つで、益山の美しさがありのままに感じられる。静かに流れる錦江とそれを取り囲む山々は、自然の美しさと安らぎをプレゼントしてくれる。
クマが錦江の水を飲む姿に似た地形ということで「熊浦(コムゲ)」と名付けられたこの地は、もともと浦の入り口になっていた。20数年前までは船が出入りしていた錦江の河口には、渡り鳥や夕日を見に来た観光客、そしてレジャースポーツを楽しむ人々が集うようになった。また、毎年12月31日には日没祭が開催される。
このほかにも、全羅北道では「訪問の年」の今年、多種多彩な祭りやイベントが開催される。特に、今年6月8日に行われる「全羅北道訪問の年記念KBSミュージックバンク」には少女時代のグループ内ユニット「テティソ」、Wonder girls、SISTAR、INFINITEなどK-POPアイドルが出演、全羅北道を世界にPRする予定だ。