「10分撮っては送り、また10分撮っては送り…そんな状況で放送事故が起きたのです」
撮影監督のA氏は「いつかは起きる事故だった」と淡々と話した。23日、KBS第2放送の水木ドラマ『赤道の男』放送中に、突然映像が静止した放送事故について語った言葉だ。
同日午後10時50分ごろ、テレビを見ていた人は戸惑った。ドラマが始まってから50分後に突然、画面が真っ暗になったかと思うと、放送が中断してしまったからだ。するとオープニング映像が静止画面で映し出され「キー局の都合により『赤道の男』第19話は終了です。明日この時間に最終回を放送いたします。視聴者の皆様、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます」という字幕が出た。そして、キー局のKBS放送は、当初午後11時15分から放送する予定だった韓国映画『ハーモニー 心をつなぐ歌』を繰り上げて放送した。インターネットの掲示板やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「ツイッター」「フェイスブック」などには「ドラマを見ていてびっくりした」「ドラマで映像が中断したのは初めて見た。理解できない」などの書き込みが相次いだ。
KBS放送は「24日の最終回に向けてギリギリで撮影していたため、最後の編集テープが放送に間に合わずに事故が起きました。視聴者の皆様には深くおわび申し上げます。23日に放送できなかった分は24日の最終回で合わせて放送します」と説明した。
だが、放送関係者は、この前代未聞の放送事故について「いつかは起きるだろうと思っていた」と話す。あるドラマのプロデューサーは「ドラマは中盤を過ぎると、事実上の『生放送』状態と変わらない。10分単位で撮影し、編集室にテープを送るのはよくあること。放送が始まってからもその回の編集が終わらず、追加撮影分を現場から送ることも一度や二度ではない。テープを早く届けようと、スタッフが車の運転でスピードを出しすぎ、交通事故に遭いそうになることもよくある。スタッフは時間との戦いで、命を懸けて働いている」と話した。
また、ある放送作家は「撮影したものを渡す際、これまでけが人や犠牲者を出さずにやってきたことの方が奇跡。今回の事故を単なるトラブルと考えるのではなく、脚本をその場その場で数ページずつ出演者に渡すことや、秒単位で撮影し編集室に送るという韓国のドラマ制作システムを見直すきっかけにしなければならない」と話している。