視聴率が40%に迫り、「国民的ドラマ」と呼ばれる日も近いと言われている水木ミニシリーズドラマ『太陽を抱いた月』(MBC)。第6話まで主な登場人物たちの10代のころを演じた子役・若手俳優たちが見事な演技を見せたため、成人後の展開を懸念する声もあったが、そうした不安を一掃した一番の功労者は、何といっても「イ・フォン」役のキム・スヒョンだろう。
■今では単独主演の話も…『太陽を抱いた月』でギャラ2倍
キム・スヒョンの勢いが止まらない。『太陽を抱いた月』の放送開始以来、インターネット上はキム・スヒョンの話でいっぱいだ。20代の女性視聴者は「最近、友達のカカオトーク(スマートフォンのチャットサービス)のプロフィール画像がみんなキム・スヒョンに変わり、その人気を実感している」と話す。
芸能人の人気はCM出演料を見れば分かる。実際に、キム・スヒョンは『太陽を抱いた月』に出演してからギャラが跳ね上がった。広告業界の関係者によると、キム・スヒョンは昨年まで1本当たりのCM出演料が1年間で平均2億ウォン(約1400万円)台だったという。キム・スヒョンは4-5本のCMに出演しており、1年に計10億ウォン(約7000万円)を手にしたことになる。ところが、最近はギャラが2倍になったことが分かった。もちろん、オファーも続々と舞い込んでいる。
それだけでなく、ドラマや映画の台本も次々とキム・スヒョンの元に届いている。所属事務所のキーイースト関係者は「少し前までは演技派の大物俳優の脇役としてオファーが来たが、今では有名監督の作品の単独主演に名前が挙がっている」と話す。
■キム・スヒョン、役柄を生かす光る演技
キム・スヒョンが『太陽を抱いた月』人気の中心になっているのは、フォンという魅力的な登場人物の役を自分の物にしているからだ。フォンは朝鮮王朝時代の仮想の王で、女性なら誰もが引かれるイケメン。その他人を寄せ付けないとげとげしさが女性の独占欲を刺激し、恋慕っていた女性を失い、忘れられずに胸が痛める様子が母性本能をくすぐる。
そうした役に息を吹き込んだキム・スヒョンの演技は毎回話題を呼んでいる。別の20代女性視聴者は「キム・スヒョンは起伏の激しい感情を表現するたび、声のトーンや口調が変わる。感情に合わせて視線や表情がさまざまに変わるので、彼を観察するのが楽しみ」と演技を高く評価した。
キム・スヒョンは、珍しいことに自身の名前よりも劇中の配役名で呼ばれることの方が多い俳優だ。前作の『ドリームハイ』では「ソン・サムドン」という役だったため「サムドン」と呼ばれ、現在出演中の『太陽を抱いた月』でも役名「イ・フォン」と本名「キム・スヒョン」を合わせて「スフォン」と呼ばれている。本名より役名の方が有名ということは、それだけキム・スヒョンの演技が優れているということだ。
キム・スヒョンは内向的な性格だったことをきっかけに演技を始めたという。高校2年生のときに初めて舞台に立ち、そのときにもらった拍手が忘れられないそうだ。キム・スヒョンは演技経験が豊富とはいえないが、舞台から若手俳優、若手俳優から大人の俳優へと、同年代の俳優たちとは違った道を着実に歩んでいる。