「ヒロイン受難時代」、視聴者の不満爆発

「演技がワンパターン」「相手役男優のオーラにのまれている」
視聴者が演技力を批判、「ヒロインが年上すぎる」ミスキャスト指摘も

▲左から、MBC『太陽を抱いた月』のハン・ガイン、SBS『お願いキャプテン』のク・ヘソン、MBC『光と影』のナム・サンミ。
▲ ▲左から、MBC『太陽を抱いた月』のハン・ガイン、SBS『お願いキャプテン』のク・ヘソン、MBC『光と影』のナム・サンミ。

 「年を取ったら演技力がなくなったのか?」「驚いた時、息苦しい時、胸が震える時の表情が全部同じだから『ああ、またか』と思う」「これ、国語の教科書を音読しているの? 何なの? 気持ちが全然入っていない」

 MBCの水木ドラマ『太陽を抱いた月』公式サイト掲示板に書き込まれた視聴者たちの意見だ。これらはすべて、ヒロイン役のハン・ガイン(29)に向けられたもの。このドラマは序盤に男女メーンキャストの10代を演じた子役たちが好演し、第2話で視聴率20%台をマークするなど爆発的な人気を巻き起こしている。

 第6話からメーンキャストの成人後を演じる俳優たちが登場、視聴率も30%を超えるなどその勢いは止まらないが、視聴者たちはハン・ガインの演技に対し不満をあらわにしている。ハン・ガインは、悲しい恋の相手を演じるキム・スヒョン(23)よりも6歳年上であることから「キャスティングが間違っているのでは」という声まで上がっている。

 今は「ヒロイン受難時代」だ。ハン・ガインだけでなく、最近放送が終わった、あるいは現在放送中のドラマのヒロインたちは次々と演技力・ミスキャスト批判にさらされている。

 月火ドラマで現在視聴率1位のMBC『光と影』。ヒロインを演じているナム・サンミは「顔には表情がなく、セリフには感情が入っていないから見ていてイライラする」と視聴者の不満を買っている。SBS『お願いキャプテン』は、『太陽を抱いた月』と同じ時間帯で視聴率が稼げない上、ヒロイン役ク・ヘソンが酷評され、二重の苦しみにあえいでいる。「(ク・ヘソンが『花より男子~Boys Over Flowers』で演じた)クム・ジャンディ(牧野つくし)がパイロットの制服を着ただけ」「10年間変わらない演技に気が重くなる」などだ。

 演技はひとまず合格点だが、相手役の男性俳優のオーラにのまれてしまっているヒロインも少なくない。このほど終了したKBS第2『ブレイン』では、シン・ハギュンとチョン・ジニョンという俳優2人の熱演に埋もれ、ヒロイン役チェ・ジョンウォンはほとんど話題にならなかった。現在放送中のSBS『サラリーマン楚漢志』でも、チョン・リョウォンの演技が「コミカルな演技の達人」イ・ボムスに圧倒され、注目されていない。最近演技が好評だった女優といえば、ホン・スヒョン(『王女の男』『サラリーマン楚漢志』)、キム・スヒョン(『ブレイン』)くらいだが、ほとんどがヒロインでなく助演だ。

 制作サイドは「重要な役をスムーズにこなせる若い女優が少なすぎる」と話す。特に、最近人気の「フュージョン時代劇」でヒロイン不足が深刻だとのことだ。

 あるドラマ制作会社の関係者は「『太陽を抱いた月』や『光と影』など重厚なドラマは、ヒロインが元気すぎるイメージでも、子どもっぽいイメージでも良くないので、こうした条件に合う若い女優を探すのは大変」と話す。

 ムン・グニョン、ムン・チェウォン、シン・セギョンなど「信頼できる」若い女優たちがあまりにも少なく、キャスティング合戦が激しい一方、女優たちも次の作品までそれなりに準備期間が必要なため、すぐに撮影に入りたい制作サイドにすれば、ひたすら待つのは難しいというわけだ。

 こうしたことから、「叔母とおいほど年が離れた年上女優と年下俳優」「叔父とめいほど年が離れた年上俳優と年下女優」というキャスティングになることもある。3月にMBCでスタートする『ザ・キング』では、8歳差のイ・スンギ(25)とハ・ジウォン(33)が恋人役を演じる予定だ。このドラマは、政略結婚をした韓国の王子と北朝鮮の王女のロマンスを描いた「重厚なブラックコメディー」だ。MBC『光と影』の恋人役アン・ジェウク(40)とナム・サンミ(27)は13歳差。このため、視聴者の間からは「(演技をする上で)『化学反応』が起きない」と不満の声が上がっている。

 だが、一部には「演出サイドが怠けていることの方が問題」という指摘もある。「編成・放送日程がタイトだと理由を付け、テレビ局はキャスティングで工夫することもなく『なすがままに』出演者をキャスティングしているケースもある」というのだ。ある大手ドラマ制作会社代表は「『スターの影響力』があまりにも強いので、最近のドラマ演出家は撮影現場で女優の演技力不足を指摘できず、顔色ばかりうかがっている」と話す。

 つまり、「女優たちは学ぼうという姿勢を持たなければならないし、制作サイドは『演技力がなくても人気や知名度さえ高ければメーンキャストに抜てきする』という意識・惰性を変えなければならない」ということだろう。

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