2011年に、韓国芸能界で「時代劇の女王」に浮上した女優がいた。デビュー5年目のムン・チェウォン(25)が手にした「勲章」だ。『王女の男』(KBS第2)と映画『最終兵器 弓』の大ヒットに加え、大鐘賞、青龍映画賞で、新人女優賞を受賞。さらに、2011年KBS演技大賞では、最優秀演技賞(女性部門)まで受賞した。2012年、さらなる活躍が期待される女優として注目されている。
「女優にとっては、積み上げていく経験が重要です。昨年、時代劇2作品を通じて、女優としてとても価値のある経験をしたと思います。2作品の成果がとても良くて、今後の活動の幅が広がったということもうれしい。何より多くの方がわたしに心を開いてくれて、感謝しています。期待されるということ自体がありがたいことです」
関心とプレッシャーは比例するもの。それをムン・チェウォンもよく分かっていた。だから、今年を「さらに勢いをつけなければならない時期」とみていた。多くの人が自分の演技を注目するようになったので、女優としての責任感が重くなったという。
「芸能界のシンデレラ」ムン・チェウォンは慎重だった。「女優としてさらに強くならなければ」と話す。2作品の骨太な作品をこなすのに、1年間休みなしで駆け抜けてきた。話題の中心になっていただけに、粗も目立った。『王女の男』では、発音問題が取りざたされた。そのため、ドラマ序盤では演技がぶれたりもした。しかし、ムン・チェウォンは「傷跡」を誇らしげに思っていた。
「女優として、明確な『演技論』を持っていなければならないことが分かりました。自分がぶれなければ、キャラクターもぶれないということじゃないですか。正直、まだカメラが怖いです。ドラマ序盤にいろいろな話を聞いて、萎縮もしました。もちろん、せりふも多く、体調不良になることも多かったので、自分がどれだけ未熟なのかということもあらためて分かりました」
「新年初作品は現代劇になる可能性が高いです。でも、ジャンルよりはキャラクターが重要。ロマンチック・コメディー出演への意欲ですか? 一般的な“キャンディー”のようなキャラクターは嫌です」
ムン・チェウォンは次回作の時期への焦りはなかった。「もちろん、今年初作品の選択はプレッシャーですが、シンプルにしたいです」と意外な答えだった。
「1、2作品に出て引退する俳優なら、次回作選びはとても慎重になりますよね。でも、わたしはこれからが始まり。そして、1つの作品の成果だけで、女優生命が終わるとも思っていないし。だから、じっくり待つつもりです。ただし、女優として脂が乗る時期があるので、オフが長くなければと願うだけです。わたしの年代だからこそ、うまくできる作品があるじゃないですか」