インタビュー:イ・ミンジョン「テスト採点前のようにドキドキ」

インタビュー:イ・ミンジョン「テスト採点前のようにドキドキ」

 「さっぱりした性格だとよく言われるでしょ?」

 「うーん…さっぱりしているというよりも率直なのかも。わたしはまだ、一般人としての気持ちも強いんです」

 イ・ミンジョンの笑い声を聞くと気持ちがスッキリする。口を隠し「ホホホ…」とは言わない。かわいい子ぶるのではなく、自分の感情をストレートに表現するのだ。

 「笑っている時に、母親に『女なのになんでそんな風に笑うの!』としかられたこともあります。少しコンプレックスみたいになりましたよ。大きな笑い声を立てないように意識したり用心深くなったりすることもあります。でも、笑っているんだからどうしようもありません。ただ声を出して笑えばいいじゃないですか」

 イ・ミンジョンは来年2月に満30歳になる。デビューしてもう6年。自分のことを「芸能人と一般人の境目に立っている」と評する。映画『ワンダフル・ラジオ』のクォン・チルイン監督は「イ・ミンジョンは大学修学能力試験(修能=日本の大学入試センター試験に相当)も受けるし、合コンもするし、合宿も行く、一般人の感覚を持つ女優」と言ったが、まさにその通りだ。イ・ミンジョンは成均館大学演技芸術学科を卒業後、舞台・ドラマ・映画の順にデビューした。彼女の言葉を借りれば「学校を卒業して就職するのと同じように、学校を卒業して女優を始めただけ」だ。

 「芸能界を客観的に見られるのがいいです。一般人の感覚で見ると、芸能界は少し息苦しいところだと思います。行動が制約されるのが一番つらいですね。もし、仮面をかぶって出歩くことができるなら、外に行くたび違う仮面をつけられればいいのに。完全に素の自分を出せないのは残念ですね」

 イ・ミンジョンは自分自身を「一発屋」だとは思っていない。「ドラマ『花より男子~Boys Over Flowers』(2009年)で注目を浴びたおかげで、映画『シラノ・エージェンシー』(10年)に続き、『ワンダフル・ラジオ』(来年1月5日公開)のヒロインになれた」と評されることを残念に思っている。23-24歳のころは恩師の勧めで国立劇場や芸術の殿堂などで舞台に出演、26-27歳のころは脇役から主演までをドラマでこなした。そして、30歳前に映画の主演を務めるまでになった。

 「階段を1歩1歩、着実に上がれたと思います。階段を1段飛ばししたことはありません。脇役から助演、主演、そして芝居を1人で引っ張っていく役まで演じられることになりました。ある日突然、わたしが表舞台に出てきたかのようにおっしゃる方もいますが、わたしの考えでは、階段を上がってきたわたしをある瞬間、発見されたのだと思います」

 『ワンダフル・ラジオ』は彼女に特別な思いがある。『シラノ・エージェンシー』でオム・テウンと共にストーリーを引っ張っていったとすれば、『ワンダフル・ラジオ』は自分1人でストーリーをリードしていくからだ。『ワンダフル・ラジオ』で演じているのは、かつての人気アイドル歌手で、今はラジオのDJで生計を立てているシン・ジナという役。そうした人物設定のため、イ・ミンジョンはギター演奏を始め、歌やダンスなどを習わなければならなかった。『シラノ・エージェンシー』がロマンチック・コメディーなら、今回の映画はシン・ジナという女性が自分探しをするというヒューマン・ドラマだと考えているそうだ。

 「ある程度、ストーリーを1人でリードしたいと思っていました。幸いなことに、撮影中も大きなプレッシャーはありませんでした。笑いの流れをつくってくださったキム・ジョンテ先輩や、ずっとそばで見守ってくれたイ・グァンスさんの力も大きかったです」

 元アイドル歌手という設定なので、挿入歌も歌っている。『ユー・アー・マイ・エンジェル』『アゲイン』『本当に苦い』の3曲を歌った。声楽を数年習ったおかげで、歌も無難にこなせた。2000年代初めのアイドルグループS.E.SやFin.K.Lをイメージした衣装・ヘアスタイルもお似合いだ。

 「撮影している時が一番幸せなようです。VIP試写会の時はまるでテスト前の気持ちというか…。ろくに眠れませんでした。完成版を見る時は心配半分、期待半分じゃないですか。今は、できることはすべてやり終わり、採点を待っている時のような気分です」

 イ・ミンジョンは「将来は女優ではなく『芸能人』として生きていくかもしれない」と表現した。女優は長く続けたいが、思い通りばかりにはいかないということだ。演技ができるならいろいろなこともあきらめられる。しかし「小さな幸せはなくしたくない」とも言った。

コ・ギュデ記者
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