インタビュー:ムン・チェウォン、『王女の男』を語る

写真=ホン・チャンイル記者
▲ 写真=ホン・チャンイル記者

 「わたしたちは本当に首を締めたんです。あらゆる角度から実際に首を締めて演じました。(相手役のパク・)シフさんはリアルなのがお好きなんです。首で許し、手で会話をしながら演技して…。息苦しくてせき込んだこともあります」

 ムン・チェウォンは笑いながら言ったが、愛する女が敵の娘だったという事実を遅ればせながら知った男の怒りを全身で受け止める女の姿を、涙ぐましくも演じ抜いた。

 ムン・チェウォンにとって、2011年は格別の1年になりそうだ。

 映画『最終兵器 弓』もドラマ『王女の男』も大ヒットし、若手女優としての地位を一気に引き上げたのと同時に、ムン・チェウォンという女優の存在感を確実に印象付けた年だからだ。

 『王女の男』で演じた首陽大君の長女セリョン役では印象的な演技を見せた。1453年の「癸酉靖難」(首陽大君〈のちの世祖〉による政権奪取事件)を背景に、大臣・金宗瑞(キム・ジョンソ)の末息子キム・スンユ(パク・シフ)とセリョンの禁断の恋がお茶の間の人々の胸に響いた。しっかりした脚本と出演者の好演に支えられ、『王女の男』は平均19.3%(AGBニールセン・メディアリサーチ調べ)という高視聴率をマーク、大ヒットした。

 ムン・チェウォンは「ストーリーがとてもしっかりしていたし、イ・スンジェさん、キム・ヨンチョルさんといった大先輩方が出演なさったのでいい感触はしていましたが、これほどヒットするとは予想していませんでした」と打ち明けた。

 だが、栄光の瞬間を迎えるまで、ムン・チェウォンは少なからぬ精神的苦労を余儀なくされた。新しく作られたセリョンという役柄と演技力を疑問視する声が、ムン・チェウォンを苦しめたのだ。

 「私は力不足で、ミスを犯していたことに気付きました。役柄に変化があると知り、いろいろ考えなければならなかったのですが、セリョンという役が注目されるよう望んでいたようです。文字通り目立ちたかったのでしょうが、そう見えてしまったことが問題になったようです。目が回るほど忙しかったのもありますが、インターネットで取りざたされていたので、接続を切っていました」

インタビュー:ムン・チェウォン、『王女の男』を語る

 ムン・チェウォンは気になる終わり方をした結末について「希望がある終わり方で良かったです。首陽大君も、スンユとセリョンも苦しむだけ苦しんだので、現実で恋が実らなかった方々が代わりに満足感を得られるよう、2人の恋が実れば…という希望が膨らみました」と語った。

 スンユの目が見えなくなるという設定については「現実ではつらいことですが、スンユが怒りを収める『装置』として適切だったと思います。『視力は失っても心を取り戻し、復讐(ふくしゅう)はなくしてもあなたを得た』というスンユのセリフがそれを物語っているかのようです」と解釈した。

 ムン・チェウォン自身がドラマで最も印象深かったシーンは、セリョンがスンユの代わりに飛んでくる矢を浴び、倒れ込む第14話のエンディングだ。

 「これまでのドラマで、復讐(ふくしゅう)心から愛する人を憎み、その人の首を締めるという状況をあまり見たことがありませんでした。また、そのような人を抱きしめることができる、それ程までに誰かを愛することができる女性を見たこともありませんでした。セリョンが矢を浴びるシーンはさまざまな感情が集約され、私自身も演技に集中できました。スンユに対する気持ちが深まった瞬間でした」

 『王女の男』で一回り成長した演技を見せたことから、年末に演技賞を受賞する可能性も出てきた。

 しかし、ムン・チェウォンは「これまでは授賞式を楽しみながら見ることができませんでした。今年は楽しめるだけでも十分幸せだと思います。共演した方々が受賞なさるならお祝いし、『王女の男』が話題になることに喜びを感じるでしょう」と謙遜(けんそん)した。

 そして「今年1年間は女優としての欲も出て、真摯(しんし)な姿勢で臨みました。やりたかったことをしながらご声援もいただき、感謝の1年でした。また、時代劇で体を使う演技もしたので、女優は体力にも気を付けなければならないことを知りました」とこの1年を振り返った。

インタビュー:ムン・チェウォン、『王女の男』を語る

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キム・ミョンウン記者
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