インタビュー:ソン・ヘギョ「私ももう30歳」

 「最近おじさんたちと話が合うんです。私ももう30歳なので…」

インタビュー:ソン・ヘギョ「私ももう30歳」

 映画『美術館の隣の動物園』『おばあちゃんの家』のイ・ジョンヒャン監督が9年ぶりに手がけた作品『今日』は、映画『ファン・ジニ』以降、ソン・ヘギョが選んだ4年ぶりの作品だ。ソン・ヘギョは韓国の作品には2008年以降、全く出演していない。この間、海外を回りながら写真集を撮影したり、中国でウォン・カーウァイ監督の映画に出演したりしていた。ソン・ヘギョといえば、いまだにドラマ『秋の童話』を思い出すファンも多いが、ソン・ヘギョももうすぐ30代。トップスター、そして芸能界のベテランらしく、10代の女優ナム・ジヒョンとの共演や、オープンにした恋愛の後遺症まで淡々と語ってくれた。

■30歳、年を取ったと感じるのは…

 ソン・ヘギョも韓国の年齢では今年で30歳になる。外見は時の流れすら感じさせないが、本人は「わたしももう年を取ったということに最近気が付いた」と笑った。「撮影現場での人気も子役のナム・ジヒョンちゃんに持っていかれた」など、衝撃の告白(?)は続いた。「ジヒョンはとても人当たりのいいタイプ。女性スタッフがほとんど20代前半なので、ジヒョンとの方が年が近いんですよね。わたしは主にカメラマン、照明さん、音響さんといった“おじさん”たちと仲が良かったですね(笑)。後の方ではわたしの方がもっと積極的に話しかけていたほど。今でも連絡を取り合ってます」

 17歳の若いナム・ジヒョンを見ながら、自分のデビュー当時のことを思い出したという。「あの時のわたしよりずっと聡明で演技もうまい…(笑)。ジヒョンは17歳らしい天真らんまんな女の子です。でも演技をする時はとても大人っぽい。前半でいい演技ができるところがわたしと似ているので、相性が良かった」

■オープンな恋愛の後遺症、苦しい時期は過ぎた

 一時は映画にもドラマにも出演しなかったソン・ヘギョだが、その間もずっと忙しかった。米国の独立映画『Fetish』とオムニバス映画『カメリア』を完成させたほか、2009年12月から2年間は幾度も中国に渡り、ウォン・カーウァイ監督の『一代宗師』の撮影に臨むなど、活動の範囲が以前とは違ってきた。「『Fetish』も『カメリア』も他にはないテーマで、シナリオが面白かったので、是非出演してみたいと思いました。遊んでいてもしょうがないし(笑)。だから冒険がしてみたかった。最後にヒットした作品のイメージが強過ぎて、そのイメージだけで演じさせようとするケースが多かったので、わたしとしては少々もどかしかった。これまで見せたことのないイメージを皆さんに検証してもらえば、新しいものに挑戦できると思ったんです」

 間もなく再び中国に行く予定だ。忙し過ぎて、寂しいと思う時間すらないと話す。ちまたをにぎわせた2度の恋愛の後遺症については「世間の関心を重荷に感じた時期は過ぎました。わたしぐらいの年ごろの女性たちがすることを同じようにしただけです。わたしを平凡な30歳の女性として見てほしい。でも本当にずっと忙しく仕事をしているせいか、寂しいと思う暇もありません」と話す。

■許される側にも準備が必要

 『今日』は“許し”をテーマにした映画だ。映画の中のダヘは、婚約者を殺した少年犯を許す。しかし、許しをテーマにドキュメンタリーを制作する過程で会った犯罪被害者の遺族たちは、ダヘの考え方とは裏腹に、自分たちの許しを後悔していた。そしてその少年犯が再び殺人を犯したという知らせを聞き、ダヘは混乱と絶望に陥る。「許すことの本当の意味。加害者と被害者の関係など、初めて考えさせられることが多かった。そのせいか、最近、性的暴行や犯罪関連の報道を目にするたび、他人事とは思えず、事件の行方を最後まで見守ってしまう」

 ソン・ヘギョは怒りと悲しみを内に秘めるダヘの姿を、抑えた演技で表現した。最後に聖堂の新婦に激しい怒りを吐き出すシーンは、だからこそ印象的だった。「大人の女になったと多くの方々が褒めてくれて、それはそれでうれしいのですが、わたしとしては納得のいかない部分もあります。私はただ、以前の延長線上で演技をしているだけなのに…。それに、前はそんなに演技が下手だったのかなあとも思うし(笑)。自分の演技に満足している俳優はいません。もちろんわたしを含めて」

インタビュー:ソン・ヘギョ「私ももう30歳」

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キム・ピョヒャン記者
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