「テナーの貴公子」フィージンが日本デビュー

「テナーの貴公子」フィージンが日本デビュー

 韓国のポッペラ」(ポップスとオペラの合成語)テノール歌手「フィージン」が11月9日にCDシングル「ただ愛のために/10月のある素敵な日に」で日本デビューする。

 フィージンの歌手への道のりは容易ではなかった。貧しい少年時代を過ごし、早く自立するため工業高校に入学。彼の歌の才能に気づいた音楽教師が音楽大学への進学を勧めるが、経済的事情で断念。高校卒業後は自動車会社に就職、エンジニアとして連日夜遅くまで働いたという。

しかし音楽への情熱は失せず、働きながら睡眠時間を削っての歌のレッスンを続け、ついに名門中の名門、ソウル大学の声楽科に合格。大学卒業後に3年間の軍隊生活でのどを痛めるも1年半のリハビリを経て完治、2008年に韓国でデビューしたという経歴をもつ。

 数々の逆境を越えて歌うフィージンの魅力はクチコミで広がり、今年1月には紀尾井ホール(千代田区)にて公演を行った。この公演は、美智子皇后が観覧され注目を集めた。

日本デビュー曲「ただ愛のために」の歌詞は、坂本冬実の「いま君に恋してる」などのヒット曲で知られる作詞家の松井五郎氏の書き下ろし。編曲を担当したのは、NHK連続テレビ小説『おひさま』等の作曲家の渡辺俊幸氏。渡辺氏は「フィージンさんの歌声は、朗々としていて温かく優しさに満ち、聞く人々の心を癒す特別な力があるように感じられます」と自身のブログでつづっている。

また、フィージンは、デビューを前に、11月14日に東京オペラシティ(新宿区)でのソロ・リサイタルを行うことも決まっている。1600名を収容する巨大なホールでのソロ・コンサートがCDデビューを前に決定するのはクラシック系アーティストとしては異例中の異例。藤原道山(尺八)や大萩康司(ギター)など著名アーティストたちがゲスト出演し、ステージを彩る予定だ。

最近は、K-POPのみならず、ポッペラ、トロットなどの分野でも少しずつ日本進出が進んでおり、今後の動向も楽しみだ。

東京= 野崎友子通信員
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