釜山国際映画祭と釜山市が共同プロデュースしたオムニバス映画『カメリア』の「Kamome(カモメ)」に主演した俳優ソル・ギョングが訪日。3日、東京・新宿バルト9にて行われた試写会で行定監督、吉高由里子とともに舞台あいさつを行った。
今回の訪日は、以前行われた同映画の記者会見の席上で、ヒロインを演じた吉高由里子が「ソル・ギョングさんを皆さんに紹介したい」と熱望し実現したもの。
ソル・ギョングは登壇すると、出演を決めた経緯として「シナリオも面白く、行定監督が演出をすると聞き、話をもらってすぐに出演を決めました。撮影は由里子さんとは一緒の期間は短かったが、本当に楽しく撮影をすることが出来ました」と語った。
ソル・ギョングの出演を熱望していたという行定監督は、「当たり前の話です。彼の出演作で気迫ある芝居を見させてもらいました。まさか自分の映画の中に『ソル・ギョングがいる』ということが今でも信じられない。脚本を執筆中に、もう1人の脚本家が、以前ソル・ギョングさんに会い握手した時の印象を脚本に引用していたので、ダメ元でポン・ジュノ監督にお願いし実現できた。すごくラッキー」とキャスティング秘話を披露。彼の魅力について「同い年とは思えない。兄貴的なオーラを出している(笑)。一見無骨だけれどすごく繊細」とし、「映画というものがどういうものなのか、国が違っても同じ映画人が一緒に仕事するということで学ぶことが多い」と語った。
ソル・ギョングは共演の吉高由里子について、「中学生のようなあどけない印象だったが、モニターの中の由里子さんは成熟した女性だった。短い撮影期間で彼女は現場のみんなの心をつかみ、忽然と消えた由里子さんの残した足跡がどれほど大きかったのか。掃除機のようなすごい吸引力をもった女優」と評した。そして吉高由里子は、ソル・ギョングのことを「時間に合わせて生きていくが、ソル・ギョングさんは彼だけの時があり、そこにわたしがお邪魔した日々。お湯に浸かった気分になれる人。信頼しています」とその魅力を語った。
どうやってコミュニケーションをとっていたのか、との問いには、ソル・ギョングは「日本語です。冗談です」と笑わせ、吉高由里子は「ソル・ギョングさんにビンの栓をスプーンで開ける方法を教わりました」と笑いながら答えた。
さらに「私が食べようと思っていたカップラーメンとお菓子をギョングさんに食べられてしまいました。韓国では『独り占めしない』と教わり、次から買ってくるときは気をつけました(笑)。でもカップラーメンにお湯を入れずにまるかじりしている人は初めて見ました」とソル・ギョングの意外な一面を披露すると、さすがの彼も我慢できずに大声で笑った。
日本・タイ・韓国の3国を代表する3人の個性豊かな監督たちが釜山を舞台に、ソル・ギョングほか、キム・ミンジュン、カン・ドンウォン、ソン・ヘギョら出演のオムニバス映画『カメリア』(配給:東映)は22日、東京・新宿バルト9ほかにてロードショー公開。