新羅千年の都、果てしなく続くハス畑にたたずむ

米国人留学生が行く、味と歴史の慶州

新羅千年の都、果てしなく続くハス畑にたたずむ


 ハスの花はあちこちで見ることができるが、ハスの花の真髄を堪能できる場所といえば、まさに慶州ではないだろうか。新羅千年の歴史的な香り漂う慶州のハスは、毎年夏から秋にかけて、慶州を訪れる観光客の目を楽しませている。

 新羅・文武王の時代につくられた人工の池「雁鴨池」の隣に作られたハス畑は、非常に美しい。広大な敷地に咲き乱れるハスの花を見ていると、静かながら熱い感情がみなぎってくる。これは白やピンクの独特な形の花が、大きな緑の葉と対照的な色合いを放つことにより、躍動的な印象を与えるからだろう。

 果てしなく続く雁鴨池のハス畑に立っていると、ハスの花がますます印象深く感じる。ハスの花の最も大きな特徴は、その「清らかさ」にある。ハスは泥の中で育つが、葉の上にはわずかの泥も残らず、すぐに流れ落ちてしまうほか、消臭作用もある。また、丸いハスの葉は、花が満開になったときの色合いが素晴らしく、見ているだけで心が穏やかになる。

 ハスの生命力は神秘的ですらある。柔らかいハスの茎はなかなか折れず、その種は3000年の歳月が過ぎても花を咲かせるとして、生命力の象徴とされてきた。そうかと思えば、ハスは咲くと同時に実がなり、芽が出たときからほかの花とは違った、独特な美しさを持っており、昔からどんな環境にも染まることなく、誇り高く育ち、美しく花を咲かせる人を「ハスのような人」と言ったという。

 このように韓国的な情緒がいっぱいに詰まったハスは、新羅の遺跡にも大きな影響を与えた。527年に法興王が仏教を受け入れる前から、新羅の旧貴族たちはハスの形を真似た屋根瓦を作り、平民たちはハス模様の餅を作った。「エミレの鐘」と呼ばれる、現存する韓国最大の鐘「聖徳大王神鐘」の鐘木も、ハスの花の形に装飾されている。現在も、ハスの花はあちこちで幅広く活用されている。ハスの花のサムバプ(野菜にご飯を包んで食べる料理)など、健康食として韓国人の舌を楽しませているほか、お茶や薬としても利用されている。また、ハスの花の模様は韓服(韓国の伝統衣装)の模様にもよく使われている。

 遺跡を通じて、あるいは日常品に応用されたハスの模様は決して斬新ではなく、多少古くさい感もあるが、広大な青空の下、果てしなく続くハス畑でその美しさに魅せられてみてはいかがだろうか。突然振り出した夕立の中、大きなハスの葉を傘にして走り回る子どもたちの無邪気な笑顔を見ると、長い月日をさかのぼり、韓国人の奥深くへと入り込んだハスの魅力を実感できるだろう。

ヨン・ダナ(コロンビア大学)

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