「屋根のない博物館」と呼ばれる江華島。ここは先史時代から近代の開花期まで、数多くの韓国史の痕跡を残している所だ。このため島を一周するだけで、江華島の歴史を体験できる。
済州島で「オルレ道」の人気が高まっていることを受け、最近、江華島にも「ナドゥル道」が作られた。この道は、島を巡りながら、あちこちに残された歴史や文化、自然を一度に味わうことができるトレッキングコースだ。
先週末、島の8カ所に作られたナドゥル道のうち、春と秋に美しい風景が広がる「ホグクトンデ道」を訪れてみた。このコースは「甲串トン台(台地)」から「草芝鎮」まで計17キロメートルに及び、「トン台」などの軍事施設を歩く海岸コースだ。
江華大橋を渡り、「甲串トン台」に向かった。ここは高麗高宗19年(1232年)から元宗11年(1270年)まで、首都を江華島に移していた時代にモンゴルと戦った際の城壁で、江華島海峡を守った重要な要塞だった。
トン台を見渡すと、入り口の近くに「レンタルサイクル店」があった。「ホグクトンデ道」にはきれいなサイクリングコースがあるという話を聞いていた。普通に歩けば6時間程度かかるコースだという。
自転車を借り、トン台を出た。車道の横に作られているサイクリングコースはきれいに整備されていた。ブロックを積み、自転車だけが通れるようにしてあるため、思い切りサイクリングができる。自転車のペダルを踏み、コースに沿って走り始めた。道路わきには秋の訪れを告げるコスモスが咲いていた。
トン台を出て5分ほど走ると、「トロミ船着き場」に到着した。しばらくの間自転車を止め、休憩していると、気持ちの良い潮風が吹いてきて汗を乾かしてくれた。海を見渡すと、左側には江華大橋が、右側には草芝大橋が見えた。
坂を速いスピードで下ると、あっという間に「花島トン台」に到着した。ここには利用客のためのさまざまな施設がある。コースにはあちこちに休憩所が設けられているが、飲み物や食べ物が買えるような売店はここにしかない。
しばらく休息を取った後、再び海岸に沿って道を下った。「鰲頭トン台」を過ぎ、「広城堡」に向かう道には、海岸の稜線に従って精巧に置かれた石がある。広城堡に到着し、中に入ってみた。ここは江華島を守る12の鎮堡のうちの一つだが、辛未洋擾(ジェネラル・シャーマン号事件 を発端として1871年に起きた、アメリカ合衆国の艦隊による朝鮮襲撃事件)の激戦地とされている。
全てのスケジュールを終えた後、コースの近くにあるウナギの養殖場を訪れた。一人でウナギの蒲焼を食べるのは気が引けたので、うな重を食べることにした。石の器に入って出てきたうな重は、とてもおいしそうに見えた。香ばしく甘いウナギ特有の香りが食欲を刺激した。スプーンで軽く混ぜて一口食べると、タレの甘辛さとウナギのコクが口一杯に広がった。