「安全」がテーマのアニメ、韓国で人気


 昨年5月からEBS(教育放送)で放映されている創作アニメ『ドシンドシン・アイク』(マロスタジオ制作)=写真=。宇宙から地球に飛んできたいたずらっ子の王子「アイク」が地球人の少女の家で暮らす中で起こる騒動を描いたアニメだ。主人公アイクはかくれんぼをすると言って洗濯機や冷蔵庫の中に入ったかと思うと、隣の家の犬にいたずらしてかまれそうになる。ある時は、優しい声で話し掛けてきた誘拐犯に連れ去られそうになるなど、毎日危機を脱出しながら「安全ルール」を一つずつ学ぶというストーリーが展開される。

 韓国製の創作アニメが競演する場ともいえるEBSテレビで、このように「安全」をテーマにした作品が人気を集めている。想像上のキャラクターが主人公となり、家庭や大都市の道端など身近な場所でちょっとした「冒険」をしながら、安全のルールを守り、秩序の重要性を学ぶ。

 昨年8月から放映中の『ちびバスに乗ろう』(アイコニクス・エンターテインメント制作)のキャラクターは、ソウルの街中で見られる青・緑・赤・黄のバスだ。このアニメには、メインのストーリーとは別に、人々が秩序を守って乗車・下車し、信号や道路上の規則を守る場面が多く登場する。このため幼い子どもたちは、自然に交通秩序を守ることの大切さを覚えていく。

 今年2月から放送中の『ロボッカ・ポリ』(ロイビジュアル制作)の主なテーマも「安全」だ。ロボットに変身可能なパトカー、消防車、救急車、ヘリコプターが登場し、自動車事故の処理や救助活動などを毎回繰り広げる。『ブルンブルン・ブルーミッズ』(サムジー・アニメーション制作)は、チーター、シカ、サルなどの動物を自動車と合成した想像上のキャラクターたちが主人公だ。このような特徴から、制作会社は道路交通公団と、子どもの交通事故防止のためのMOU(了解覚書)まで締結した。

 これらの作品は全て視聴率でも善戦している。DVD、本、おもちゃ、ミュージカルなど、多様な分野で商品を売り出し、ワンソース・マルチユース(OSMU=一つの材料から多様な事業を展開すること)としても成功を収めているという評価を得た。アニメーション業界の関係者は「現実的で共感を呼ぶストーリーテリング(語りかけ)の技法が、子どもはもちろん、実質的なチャンネル権を握っている保護者たちにも好評を得ているようだ」と話す。しかし、一部では「安全のアニメーションが人気を集めるということは、それだけ深刻に子どもが事故や犯罪の危険にさらされているという意味だ」という指摘も出ている。

鄭智燮(チョン・ジソプ)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース