慶州の海と刺し身そうめん、忘れられない思い出

慶州旅行記(3)

▲ 刺し身そうめんの店の前で列を作る人々(上)と田浦刺し身そうめん(下)

 私は海が大好きだ。壮大な地平線を見ると、胸がスッとする。だから、交換留学で訪れた釜慶大学が釜山広岸里の海岸近くにあることがとてもうれしかった。

 今年の夏に出掛けた慶州旅行では、慶州の海を存分に味わうことができた。慶州は市内だけでなく、海の方にも多くの貴重な文化財が残っている。特に、奉吉海水浴場にある水中陵(文武大王陵)にまつわる物語に触れたときは感動すら覚えた。目の前にある感恩寺址と水路でつながっている光景も不思議だった。

 慶州の海は全体的に静かだった。夏の休暇を楽しむ人々で混み合う海水浴場とは違い、釣りやキャンプなどを静かに楽しむ観光客が多く、足を柔らかに濡らす波も優しかった。

 そんな静かな海辺で私を興奮させたものが一つあった。それは「刺し身そうめん」だ。典村海水浴場の前には多くの刺し身専門店が立ち並んでいる。その中でも、たくさんの人が列を作っている人気店を発見した。そこで、並んででも絶対に食べてみたいと思い、待つことにした。


 韓国人と同じように日本人も刺し身が大好きだ。しかし食べ方は少し違うようだ。韓国で人気があるのは白身の魚だが、日本では赤身が好まれる。また、取れたての新鮮な魚よりも、1日程度熟成させた深みのある味わいを好む点も韓国とは異なる。

 30分ほど待ったところで、ようやく料理が運ばれてきた。銀色に光る器に、野菜と白身の刺し身、そして「チョジャン」という酢を入れたコチュジャンがたっぷり入っていた。そうめんは自分が好きなだけ入れて食べるとのこと。既にチョジャンの味に慣れていたので、おいしく味わうことができた。箸でよく混ぜるとさらにおいしそうな色になった。慶州の海で捕れた魚を刺し身にしているため、本当に新鮮だった。

 隣のテーブルの人たちが、のりやサンチュに刺し身そうめんを少しずつ包んで食べているのを見て、まねてみた。のりに包んで食べてみると本当においしかった。外国人なのによく食べる私を見て、オーナーのおばさんがそうめんをサービスしてくれた。韓国のこういう温かい文化に触れると、いつもうれしくなる。

 刺し身そうめんで満腹になった後は、典村海水浴場の漁村を見学した。港にポツンと停泊している船の後ろに見える赤い灯台が印象的だった。あちこちでワカメや海産物を乾かしている女性たちの表情は穏やかだった。

 私が味わった慶州の海は、まるで午後の眠りにつくように甘く優しかった。貴重な文化財とおいしい刺身そうめんを満喫した慶州の海は、私にとって特別な思い出として永遠に記憶に残るだろう。

文=松原あや(釜慶大学3年)

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