どちらにもメリット? 検察・警察がアイドルをPR大使に

 「私たちみんなで守りましょう。法秩序を守りましょう(後略)」

 毎朝9時、ソウル市瑞草区の大検察庁(最高検察庁に相当)廊下には、法務部(省に相当)のPRソング「守ろう、小さな基本」が響き渡る。歌っているのは人気ガールズグループ2NE1(トゥエニーワン)。ここだけではない。全国の刑務所など法務部傘下機関のほとんどで同じ曲が流れている。2NE1は昨年から法務部の「法秩序キャンペーン」PR大使として活動している。

 警察は今年、ガールズグループT-ARA(ティアラ)の人気メンバー、ウンジョンを「戦闘警察隊(機動隊)・義務警察隊(兵役の代わりに警察に勤務する警察官部隊)PR大使」に任命した。ダビチのミンギョンが昨年務めたのに続き、二人目のガールズグループメンバーPR大使だ。警察庁関係者は「ウンジョンさんが載っているパンフレットには『わたしの隣人はわたしが守る。わたしの彼女もわたしが守る』と書かれている。まるで若い男性たちに『戦闘警察隊・義務警察隊になれ』と勧誘しているようなもの」と言って笑った。

 韓国の二大捜査機関である検察と警察は「アイドル確保」に熱を上げている。重厚で厳粛な機関というイメージを変えるため、親近感のあるアイドルがPR大使を務めれば効果は絶大というわけだ。

 法務部は2009年に初めてアイドルをPR大使にした。男性アイドルグループBIGBANG(ビッグバン)だ。ユン・ヒョンジュなど年配の歌手や俳優をPR大使にするという慣行を打ち破る「破格の任命」だった。キム・ヘウン法務部広報担当官は「あちこちから『BIGBANGのポスターが欲しい』と言われ、追加で数千部を刷った。今年の2NE1のPRソングも、携帯着信音としてダウンロードする人が多い」と話す。

 今年4月に法務部が任命した「世界人の日」PR大使はガールズグループmiss A(ミスエー)だ。「多文化家庭(国際結婚による家庭)が主役の同イベントに、中国人メンバー二人(フェイとジア)がいるmiss Aほどふさわしい芸能人はいない」というのが理由だ。昨年のPR大使は、アンバーとビクトリアという外国人メンバーがいるガールズグループf(x)(エフエックス)だった。

 アイドル側も歓迎している。ノーギャラだが、「アイドルのイメージアップに役立つ」というのだ。ある大手芸能プロダクション関係者は「韓国最大の権力・捜査機関のPR大使を務めれば、軽く見られているアイドルグループのイメージが高まると同時に、中高年層には『正しい言動をする若者』という認識も持ってもらえる。プロダクション側としても検察・警察との関係がスムーズになり、いいことずくめでは」と話す。

 ただし、検察・警察側からすれば、「玉石混合」のアイドルをどう見極めるかが課題だ。ある検察関係者は「将来、不始末に巻き込まれたり、犯罪に手を染めることのないアイドルを選ぶのに苦労する」と語った。最近では、法務部のPR大使として活動していたあるアイドルが、09年に「コンサートでのパフォーマンスがわいせつだ」と物議を醸したため、ネットユーザーの批判が法務部にも殺到した。

パク・セミ記者
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