インタビュー:チソン「欲を捨て基本に立ち返りたい」(上)


 韓国ドラマにはこれまで、クールで都会的な「本部長」がたくさん登場してきた。だが、SBSドラマ『ボスを守れ』のチソン(34)が演じるチャ・ジホン本部長は、こうした流れとは無縁だ。パーマ頭にカラフルなジャケットを引っ掛けて出社するチャ・ジホンは、本部長ではなく新入学の小学生のようだ。トラブルメーカーで勤務態度が怠慢な財閥創業者一族の三代目だが、「パニック障害」というハンデを持っている。23日にSBS一山制作センター(京畿道高陽市)で会ったチソンは「優れた演技力と高視聴率という二つの荷を下ろし、内面に秘められた純粋さをありのままに見せたかった」と語った。

-これまでのクールな役とは違う。

 「悪役や激しい役を演じるときは、間接的な経験で演技をしなければなりませんが、そういうときは苦しみます。このドラマの直前に演じていた『ロイヤルファミリー』(MBC)の弁護士ハン・ジフンも善と悪を見極める審判者のような役で、大変でした。愉快で明るく、複雑すぎない素直な役をしたいと思っていたときに出会ったのが『ボスを守れ』のチャ・ジホンです。難解だとか非凡だとか、俳優としてのスペックを高めるための役ではなく、欲を捨てて基本に立ち返ろうという気持ちでチャ・ジホンになろうと決めました」

▲ チソンは「受け身の姿勢でつらい思いをしながら演技するよりも、自分の中からわき出る感情を飾ることなく素直に見せようと思っています。演技とは、自分が好きなものそのもの」と語った。/写真=許永翰(ホ・ヨンハン)記者


-ちょうネクタイに漫画『スラムダンク』の宮城リョータのようなパーマヘアが目を引く。

 「僕のアイデアです。ちょうネクタイはパニック障害という壁に閉じ込められた、きちんとした服装をする子どもの姿を象徴しています。ちょうネクタイが自分を縛り付けているんです。子どものようなイメージを作るには、パーマがいいと思いました。チャ・ジホンの潔癖な性格を考え、回りは短く刈り込んで、上の部分はパーマにしました」

-パニック障害については事前に勉強したのか。

 「大体のことは勉強しました。パニック障害について細かいディテールまで見せるか、単に症状だけ見せるかで悩みましたが、後者を選びました。障害を乗り越えるプロセスは誠実に描き、あとは手を胸に当てるとか、息遣いが荒くなるという行動で示すことにしました」


-コミカルな演技が本当に「演技」のように見えるという指摘もある。

 「『ボスを守れ』はロマンチック・コメディーです。僕の演技がやり過ぎと感じられることはあっても、無理やりではありません。一定以上を超える演技はしません。中盤からはもう少しまじめになると思いますが、視聴者の皆さんとしては序盤のチャ・ジホンが恋しくなるかも」

-コミカルさと真剣さを同時に演技するのは難しいと思うが。

 「やたらに声を張り上げたり笑わせるシーンを撮ったら、必ずもう一度見直します。『何も考えずにふざけすぎたのでは?』と。ほかの誰かを傷つけることになってしまうかもしれないから。『ニューハート』(MBC)というドラマが終わった後、ある医師に招待されて家に行ったところ、驚くべき光景を見ました。5歳の子どもが人形を寝かせて、僕がドラマでやった心肺蘇生術のシーンをまねしていたんです。そのとき、誓いました。責任感を持って演じなければ、と」

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