表情で何かを伝えるため、顔をしかめてみたり、耳を動かしてみたり、目の表情を工夫をしてみたりと、独自の表現を生み出そうと、努力を重ねた。
このように絶えず変化するスヒョクを演じたことは、自分を振り返るきっかけにもなった。
「どんな人も状況や周辺環境により、さまざまな変化を経験します。僕もそうだし…。そうした変化がどんな転機をもたらすかは、時が教えてくれると思います」
映画で思い切った変化を決心したのは、「変化への渇望」を感じたのがきっかけだった。「生きていくのは簡単なことではないから、皆さんの癒しになる『心優しい役』が僕にも合っていて、心地いいと思っていましたた。でも、演技をしていくうちに、僕の中の別の面を引き出して見せたいという欲求が強くなりました」。しかし、「その『変化のスピード』は自分でコントロールできるようにしたいですね」と一言添えた。
「ある部分では速く、またある部分ではゆっくりと変わっていければ、という思いがあります。演技を始めたばかりの時の気持ちは変わらないだろうけど、時間がたてばたつほど、責任感や仕事に対する姿勢は確かに強く、揺るがないものになっているようです」
■「恋をしたら? 『純愛』じゃないですね」
30代半ばに差し掛かろうという男としての変化もある。「誰の支えのような存在になりたい」という思いがある瞬間、生まれた。
「いつだったか、雪岳山に登ったのですが、急な斜面で男性と女性の二人連れに会いました。男性は脚の方まである大きなリュックサックを背負っていましたが、奥さんと思われる女性は小さな荷物だけ持っていました。その姿が本当にステキに見えました」
「恋をする時もそんな感じで純愛風?」と聞くと、「そうではないと思います」と答えた。
このほど11歳年下の美術大学生と交際していることが報じられたが、お相手の女性のプライバシーが伝えられることについて、非常に慎重になっている。自分が俳優ということで、もしかしたら一般人である彼女の日常生活に被害が及ぶのでは、と心配しているのだ。
コ・スは「恋をする時、僕はどういうタイプなのか、実は自分でもよく分かりません」とはにかむように笑った。