インタビュー:『製パン王キム・タック』チュウォン「演じていて心が痛かった」(上)


 名門一家の複雑な人間関係と出生の秘密。異なる境遇で育った異母兄弟の「パン職人」を目指す対決、そして一人の女性をめぐっても…。ユン・シユン演じるキム・タックとチュウォン演じるク・マジュンというフレッシュな顔合わせで最高視聴率50.8%を記録した2010年最大のヒットドラマが『製パン王キム・タック』だ。

 幼いころから、出生の秘密や父に愛されたい思いを抱え、タックを敵視するマジュンを演じたチュウォンにインタビューした。

―ミュージカル界から、このドラマに出演することになった経緯を教えてください。

 「僕は、2009年にミュージカル『SPRING AWAKENING』(春のめざめ)をやらせてもらったんですが、これが韓国で話題になりました。でも実は、僕はもともと正規の出演者じゃなかったんです。誰かに何かあった場合の補欠の人員だったんですが、何とけがをした方がいて、代役で参加することなり、結局150回の公演をやらせてもらいました。それがきっかけで、今の事務所にも入り、『キム・タック』のオーディションを受けることになりました」



―驚異の大ヒットになったわけですが、予想できましたか。

「予想は全くしていませんでした。でも、一つはっきりしていたことは、台本がとても面白いということでした。そして、一人一人の登場人物のキャラクターが生きていると感じました」

―このようなヒットの要因は何だと思いますか。

「いろいろなキャラクターが合わさって楽しいストーリー展開になったからではないでしょうか。ちょっと変わったパンというテーマも、おいしく表現できて、視聴者から支持されたと思います」



―ク・マジュンのキャラクターをどう思いましたか。

「父親に愛されるために努力する人間。そのために、心の底からいつも悔しさと寂しいという気持ちを抱き続けていたという役だったと思います。自分は父のことをとても尊敬していて、父を愛しているのに、自分に目を向けてくれない…僕も演技をしていて、本当に悔しくなって、悲しくなってしまいました。涙を流す必要のないシーンでも、涙が出てしまうくらいに本当に悔しかったんです。そして、心も痛みました」

―自分のお気に入りのシーンはどこでしょうか。

「最後のハン室長とのシーンです。演技していて、本当に自分の心が痛くなってしまったくらい、素晴らしい台本でした。撮影の時、涙がとまりませんでした。撮影が終わった後も、数時間、マジュンから自分が抜け出ることができなかったんです。あの時の持っていた感情が、すべてカメラの映像の中に入っていたと思います」



―撮影で苦労したシーンは。

「タックとマジュンが、パルボン先生の指示でひもでつながれるシーンです。撮影中はずっとつながれたままだったので、トイレにも一緒に行きました(笑)。服も着替えることができませんでしたし…。そのシーンは、タックとマジュンが初めてお互い心を開くシーンでしたので、いいシーンだったのですが、体力的にはつらいシーンでした。けがもしたんですよ」

―どんなけがを? 大丈夫だったんですか。

「監督に僕は信頼されてました。『君はできるだろう』と言ってスタントマンをつけてくれなかったんですよ(笑)。ひもでつながれているシーンで走って自転車にぶつかって転ぶというシーンだったんですが、コンクリ地面に後頭部をぶつけてしまい、緊急治療室に運ばれました。が、撮影はどんどん進んでいて、1時間ですぐに復帰しました(笑)」

東京=野崎友子通信員

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