-プンサンとユン・ピルジュ、2人の間のどこかに自分自身があると言ったが、あえて言うならどちらに近い?
「どうしても近い方を選べ言うなら、プンサン(『豊山犬』)の方かなと思います。だからと言って、ユン・ピルジュのような面が僕の中に全くないとは言えません。実際の僕にある面がとてもたくさん含まれています」
-『最高の愛』の結末に何か希望は?
「何と言っても、誰かさんの恋がかなえられれば。僕はドラマが悲しく終わるのが一番嫌です。『サッド・エンド』は嫌い。ドラマ『バリでの出来事』みたいなのは何日も眠れませんでした。あれでは駄目です。ただでさえ世知辛い世の中なんだから、希望を持たせてくれなければ」
「片思いもどれだけつらいことか。3作品続けざまに片思いだったので、とてもつらかったです。恋をする気分にもなれないし」(笑)
-『豊山犬』と『最高の愛』で対照的な役を演じたことについて、スリルや充実感があったのでは?
「ひたすら感謝です。本当に、どの俳優もタイミングとどんな作品に出演できるかで、(本当の)俳優になれるかどうか、そして評価されるかどうかに差が出てくると思います」
「『最高の愛』でユン・ピルジュという役が(視聴者に)愛されなかったら、『豊山犬』も多くの関心を集められなかったのでは、と思います。とてもありがたいことです。すべてがありがたいですね。見てくださるだけでもありがい。僕がすごいからではなくて、絶妙にタイミングが合ったのでしょう。ピルジュ役があったから、プンサンは全く違う役ということでより注目されているようです」
-チョン・ジェホン監督との仕事はどうだった?
「監督とはたくさん話しました。話し合いがたくさんできる監督だと思います。『こうしろ。ああしろ』ではなく、意見をよく聞いてくれるし、よければその通りしてくれます。逆に、譲歩できない部分にはこだわりがあります。そういう監督だからとても信頼できました。信頼感をくださった監督です」
-キム・ギドク監督も手紙で褒めてくれたそうだが。
「ただただ感謝です。本当に応援してくださって…。(試写が)終わってからも『ありがとう』と(共演の)キム・ギュリさんや僕におっしゃってくださり、逆に僕が感動しました。『悪い男』『鰐(ワニ)』などキム・ギドク監督の映画は高校生だったころに脳裏に焼き付き、今も離れません。心の琴線に触れる映画でした。本当にいいチャンスが巡ってきたということです」
-ユン・ゲサンを俳優として再評価する人も多い。
「そんなことは少しも思っていません。何も分からない。自分が出たい作品、自分が好きな作品にだけ出てきたのに。今どうすればいいのかよく分かりません。いい作品に早く巡り会って、お見せしなければ。この時期を逃してはならないような気がして。今後はさらに一生懸命、広くアピールしていきたいですね」
「『最高の愛』は事実上、初めてうまくいった作品です。『兄嫁は19歳』以降のドラマでは、初めて認められた作品ということで不思議な気がします。俳優自身が好きなことだけやるからといって認められているわけではないんだ、と思います。これまでずっと隠れてきましたが、もう隠れようとは思いません」
―「隠れようとは思わない」という言葉は意味深長に聞こえる。
「その通りです。僕はいつも同じ話をしてきました。どのインタビューでも『俳優になりたいです』とうんざりするほど言ってきました。本当にそういう気持ちなんです。『それしか言えないのか』とからかう監督もいました。僕は本物の俳優になりたい。今のこの年齢で情熱を燃やしたいし、少しでもリアリティーをもってアプローチできる作品があればやりたいです。
今は評価されなくても、10年・20年後、『この俳優はどんな道を歩んできたんだろう』と振り返ったとき、恥じることのない作品ばかりならうれしいです」