インタビュー:ユン・ゲサン「片思いはつらい」(上)


 優しくて多感で完ぺきな韓方(韓国漢方)医ユン・ピルジュと、休戦ラインを自由に行き来する謎の男プンサン。その間にユン・ゲサン(32)がいる。

 2人は対照的だ。1人は大人気を呼んでいる水木ドラマ『最高の愛』(MBC)で、好感度がサイテーの女優ク・エジョン(コン・ヒョジン)にいちずな愛をささげる純愛男を演じるユン・ゲサン。もう1人は2時間以上の映画で一言も言葉を発さず、重厚な芝居をする映画『豊山犬』のユン・ゲサンだ。一方がファンタジーの世界の完ぺき男なら、もう一方は荒々しさが魅力の男。ユン・ゲサンは今、まさしく水を得た魚だ。

-『豊山犬』が公開されたが、どんな思いで見た? つらい撮影のことが次から次へと思い出されたのでは。

 「面白かったです。面白い要素が多く、僕も、自分が出ているものなのに『変わっているな』と思いました。やっぱりキム・ギドク監督(この作品では脚本・制作のみ)は天才だと思います」

 「現場ではスタッフも情熱的だったので、これまでの映画より集中しなければなりませんでした。低予算映画だということは既にスタッフや俳優の間でも合意済みで、現場では撮影に心血を注ぎました。カメラも2台、3台と回し、映画を撮ることだけに全力を尽くしたのです」

-ヒットへの期待もこれまで以上に大きそうだ。

 「うまくいってほしい。思いを果たしてほしいというか…。これほど『ヒットしてほしい』という思いが強かったことはないと思います。スタッフは本当に苦労しました。利益が上がり、スタッフに還元するには、ある程度のラインを超えなければならないのですが、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』がすぐ後に公開されるので…。なぜロボット映画をするのか分からないですね(笑)」

-ちょっと見ただけでも、苦労しただろうと感じた。泥を(全身に)塗るシーンではどんなに寒かったことか…体から湯気が出ていた。

 「本当に大変でした。見えたのは幸いです。本当にそのときはとても寒かったですから。言葉も出てこなかったほど」

-映画『豊山犬』とドラマ『最高の愛』は両極端と言っても過言ではない。

 「『豊山犬』は一大決心をして出演したものです。昨年、ドラマ『ロードナンバーワン』で男らしい役を演じました。でも視聴率が少し低くて、僕がそういう役を演じていたことをご存じない方が多かったようです。もう1本だけ(そうした役を)演じてみたいと思っていたのですが、ちょうどそのときに『豊山犬』のオファーが来たんです。いろいろな条件がピッタリ合ったので決心し、撮影できたのだと思います」

 「『最高の愛』は大衆的な部分がなければできないのではないか、と思いました。僕には『芸術的な作品や独立系映画だけに出る俳優になっては駄目なのでは』という個人的な悩みがありました。俳優としての僕の出番が減ってしまうような気がして…。そして何よりも、大衆に愛される作品をやってみたいと思ったのです」

-『最高の愛』で、その思いが的中した。

 「偶然です。気持ちはいいです」

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