■「アジアは世界の大衆文化の中心地になる」
80年代に日本で人気を集めた漫画「シティーハンター」は、90年代に香港で、ジャッキーチェンの主演で映画化され、2011年には韓国でドラマ化された。3人はこの例を取り上げながら「韓国・日本・中華圏の大衆文化コンテンツの間にある壁は、そのうち確実に崩れるはず」「こうした現状を原動力にして、3カ国が協力して世界の大衆文化の主導権を握るべき」との意見で一致した。
王氏は「台湾のアン・リー(李安)監督、韓国のイ・チャンドン監督、日本の黒沢明監督など、アジアは立派な監督を生み出した。3カ国のドラマ関係者が力を合わせれば、ハリウッド進出作を十分に作り出すことができる」と話した。また「私たちはアジアを代表する黒い髪・黄色い皮膚の人間だ。私たちが力を合わせて世界を圧倒する素晴らしい作品を作れば、おのずと世界の大衆文化の中心地はアジア地域になるはず」とも語った。
中園氏は「韓流文化の競争力は、昔も今も圧倒的。韓国と日本の製作会社が共同で作品を作る際、うまくいかないことがあったのも事実だが、問題点を修正していい方向に持って行けば済むこと。さらに、スケールという強みを持つ中国がここに加われば、アジア文化のシナジー(相乗)効果は最大限に高まるはず」と話した。カン氏も「韓・中・日のドラマが持っていた個性が次第に薄れ、似てきている。したがって、互いの価値観を共有して共同作業ができれば、世界的な競争力を備えた良質の作品が生まれるはず」と指摘した。
■国境を越えた悩み…視聴率と作品性の調和
3人は共に「視聴率」という現実と「作品性」という理想との間で悩んでいた。「良いドラマとはどういうドラマなのか」という質問に対して、中園氏は「自分のオリジナリティーが表れているドラマ。だが、愛着のある作品はむしろ視聴率で苦戦した。視聴率の問題で、内容の修正を強いられたというつらい経験もある」と話した。王氏も「中国でも、視聴率が低いとの理由で予定より早く放送が打ち切られ、脚本家が執筆料を一部しか受け取れない場合もある」と打ち明けた。カン氏は「視聴率にこだわらず、視聴者と意思疎通を図り、本物らしさを失わないストーリーを書こうと努力している。高い視聴率を上げて外部から評価されるよりも、自分の書いた台本に本物らしさが感じられる方が、より満足感が高い」と語った。
対談を終えて、カン氏と王氏は日本の視聴者に対し、3月に起きた大震災の被害について、お見舞いの言葉を述べた。「被災者の方々が韓国ドラマを送ってほしいと話していたと聞いて、胸が締め付けられた。少しでも慰めになることがあれば、何でもやりたい」(カン氏)。「悪いことがあったからといって、悪いことばかり続くわけではない。
早くつらさを乗り越えられるようお祈りしている」(王氏)