「オク・ジュヒョン叩き」と韓国ネットユーザー(下)

「匿名の集団による権力遊び」…厳重処罰すべき

 専門家は「好感度が低いタレントに対するいじめは『ネットユーザーによる権力遊び』という特有の心理に原因がある」と話す。ソウル大学心理学科のクァク・クムジュ教授は「韓国のネットユーザーたちは、有名人に対する魔女狩りを、一種の『権力遊び』のように楽しんでいる。現実社会では権力を持っていない人々が、ネット上では匿名性を武器に、自分が気に入らないタレントを屈服させ、権力者の持つ快感を手にしようというもの」と説明している。

 「集団と大衆の力を盲信する社会的ムードが一因」という分析もある。崇実大学情報社会学科のパク・チャンホ教授は「韓国社会が有名人より聴衆・観衆の力のほうが大きい社会に移行していく中、『正しいかどうか』ではなく『好きか嫌いか(好感度が高いか低いか)』が重要な価値だと考えられるようになった。短期間に一方的に偏る韓国社会の集団主義的な傾向が、特定のタレントをやたらに忌み嫌うようにした」と語った。誰か1人があるタレントに対し「好感度が低い」とレッテルをはった瞬間、そのタレントに対するいい情報まで否定する「烙印効果」も、こうしたいじめをあおる原因に挙げられている。

 ネットユーザーたちはこうした「遊び」をすれば楽しいかもしれないが、これによる個人的・社会的影響は大きい。好感度が低いというレッテルをはられたあるタレントは「心理的な挫折感はもちろん、うつ病や対人恐怖症に長期間苦しんだ」と言った。自身の意向もゼロではないが、周りの意向もあり、収入源である番組を降板したタレントもいる。韓国人離れしたルックスで好き嫌いがはっきり分かれる女性タレントは「外見や私生活に関する悪意ある書き込みを見ないよう、ネットはほとんど利用しないので、世間から孤立している気持ちになることが多かった」と打ち明けた。整形手術に関する書き込みに苦しめられ自殺した歌手ユニと女優のチョン・ダビンは、文字通り「極端な選択」をしたケースだ。

 ある芸能プロダクションの代表は「タレントがいくら強い心臓の持ち主でも、悪意ある書き込みやデマに苦しめられ続ければ委縮してしまい、自分の芸能活動に制約を置くことになる。このようにゆがんだファン心理は、韓国芸能界の発展に悪影響を与えるだけ」と言った。韓国コンテンツ振興院のユン・ホジン政策研究チーム長は「タレントの好感度を故意に下げるいじめは、韓国社会の水準の低さを示すもの。これを単なる騒動と見なすのではなく、過度な個人攻撃や執拗(しつよう)な名誉棄損には見せしめとして重い処罰を下す方向で立法措置を講じるなど、厳しい対応が必要だ」と話している。

パク・セミ記者
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