「オク・ジュヒョン叩き」と韓国ネットユーザー(上)

匿名性の裏で「魔女狩り」楽しむ
「私は歌手だ」オク・ジュヒョン騒動に見たネットユーザー「芸能人いじめ」
「美人でもないくせに」「性格強すぎ」などレッテルはる
一度ターゲットになると執拗(しつよう)な書き込み・個人攻撃
「短期間に偏向的になる韓国社会の『集団主義』も原因」
「単なる騒動の程度超える…処罰すべき」



 バラエティー番組『私たちの日曜日の夜』(MBC)の人気コーナーで、毎週7人の実力派歌手が登場、自身の持ち歌ではない曲を歌い、勝ち残りを目指す「私は歌手だ」。ここに新たに加わった歌手オク・ジュヒョンに対し、ネット上で悪意のある書き込みやうわさが最近、過度に広がっている。オク・ジュヒョンが「私は歌手だ」1次審査で1位になると、「オク・ジュヒョン・ドットコム」というサイトが作られ、「良心があるなら今すぐ降板しろ」「おまえが入り込む余地はない」などの書き込みが相次いだ。さらには、オク・ジュヒョンとプロデューサーの「関係」について疑念を抱く書き込みまで登場する事態に。オク・ジュヒョンはこうした「ネット上の攻撃」に耐えられず、ラジオの生放送中に泣き出してしまった。

 専門家は「オク・ジュヒョンさんは、整形手術や先輩たちとの関係をめぐるうわさから『好感度が低いタレント』というレッテルをはられた。これはそのために始まった騒動」と分析する。その上で、「韓国社会における好感度が低いタレントへの攻撃は、単に『ふざけて悪意のある書き込みをする』という程度を超え、特定の人物に対する一種の『集団いじめ』になってきている」と語った。では、「好感度が低いタレント」は誰が、何のために作り出し、その背景にある社会的な心理はどんなものなのだろうか。

「幸せな結婚しても、勉強ができても好感度ダウン」

 「大衆の愛を糧に生きる」タレントたちが「好感度が低い」と目を付けられる理由はさまざまだ。イケメンなのに「好感度が低い」と言われる代表的なタレントAさんは「そんなにイケメンでもないのにトップスターぶっている」という理由で好感度ダウンの烙印(らくいん)を押された。女性タレントのBさんは強すぎる性格とプライベート面でのうわさのため、女性お笑いタレントのCさんは私生活と絡んだ身の振り方で騒動になったため、好感度がダウンした。男性歌手Dさんは「アイドルのくせにロック・アーティストになろうなんて」と厳しい言葉を浴びせられた。別の男性歌手Eさんは「番組での態度に誠意がない」と一瞬にして好感度が低いタレントに仲間入りしてしまった。

 「好感度が低いタレント」に対するネット上での「集団いじめ」は迅速かつ強烈だ。そうしたタレントが登場する記事の下に、個人攻撃的で悪意に満ちたコメントを数百から数千件書き込むのは日常茶飯事。一番露骨な書き込みをネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに転載したり、書き込みの推薦数を故意に増やし「世論は反感を感じている」という印象を作り出すこともある。また、タレントのブログにやたらにアクセスしサーバーをダウンさせたり、ののしり言葉が含まれる訪問者履歴を残し、恥をかかせたりもする。

 時にはデマも広める。「バカ女が結婚したら急に幸せそうな振りをするようになった」などと好感度が低いタレントにされてしまったFさんは「夫は女のカネだけを見て結婚し、仕事も辞めた」といったデマをネット上に広められ、ひどい目に遭った。 Fさんは「こうしたデマのため、夫と一時疎遠になってしまった。わたし自身も疑うようになってしまい、自ら夫の会社に行き、退職したのかどうか確認したこともある」と告白している。米名門大学の大学院を卒業した歌手TABLOは「素晴らしい学校を卒業した」という理由で反感を買い、「学歴詐称疑惑」まで取りざたされてしまった。

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