MBC帯ドラマ『男を信じた』全120話→70話で打ち切り
「質より視聴率重視で視聴者との約束破るな」
「視聴者との約束よりもテレビ局の利益のほうが大切だということ?」「違うドラマを流してまた視聴率が低かったらどうするのか。過激だが中身のないドラマでも放送するというのか」
夜の帯ドラマ『男を信じた』(MBC)公式ホームページの視聴者掲示板に寄せられた書き込みだ。 MBCは全120話としていた同ドラマを来月3日の70話で打ち切ることに決めたため、こうした書き込みが寄せられたもの。MBCは同ドラマが視聴率1けたの低空飛行を続けていることから打ち切りを決めた。
問題は、MBCが『男を信じた』の直前に放送していたドラマも、今回と同様の理由で予定より早く終了していることだ。ベテラン脚本家ナ・ヨンスクが執筆した『暴風の恋人』も視聴率が低迷、全120話という約束を覆し、69話で終わってしまった。視聴者掲示板には当時、「久しぶりに過激・極端なストーリー展開ではなく、ドラマらしいドラマが見られるかと思ったのに、どうしてこんなことになるんだ」といった憤りに満ちた書き込みが相次いだ。もちろん、ナ・ヨンスクも「視聴者を無視する行為」と強く反発した。
このように、「視聴率至上主義」に陥っている地上波テレビ局が、視聴率低迷を理由に早期打ち切りを乱発、視聴者の不満が募っている。この1-2年でMBCが打ち切りにした作品は、『恋人作り~Seeking Love~』『タムナ~Love the Island』『ストライク・ラブ』『よくできました!』などだ。SBSは『幻の王女 チャミョンゴ』『赤と黒』、KBSは帯ドラマ『家への帰り道』を予定より早く終了させた。だが、このうち作品性の面では好評だったドラマもかなりあった。バラエティー番組も、MBC『思い出が輝く夜に』『キツネの執事』『ハタンサ(「天も地も人も笑う」という韓国語を略したタイトル)』『ギャグ・ショー生まれて初めて』、SBS『シン・ドンヨプの300』『親友ノート3』『ハハモン・ショー』『おいしい招待状』などが低視聴率で苦戦、静かに幕を下ろした。
このように、打ち切りが当たり前になってしまうと、外注のドラマ制作会社では、ミニシリーズの場合、企画段階から「短ければ全16話、長くても全24話まで」というように放映回数で柔軟に対応できるよう制作する「珍現象」が起きている。「視聴率20%を超えると、テレビ局は制作費を当初予算よりも10%増やす」(パク・サンジュ韓国ドラマ制作会社協会チーム長)という「インセンティブ制度」がこうした制作方式の背景にある。
テレビ局は「視聴率が低ければCM収入が減るので仕方ない」としている。しかし、ドラマ制作者・関係者は「放映回数はテレビ局の視聴者に対する公約。視聴率が低くても作品性の高いドラマを望む少数の視聴者の権利も尊重されるべき」と話す。
国民大学メディア情報学部のイ・チャンヒョン教授は「『国民の放送』を称する地上波テレビ局が質の高いドラマの制作に力を入れず、視聴者の反応に振り回され、打ち切りや放映回数延長を頻繁に行い、視聴者との約束を破るのは、社会的責務を捨てたのと同じ。完成度の高いドラマは1作品でも海外輸出や収益事業につながるだけに、テレビ局は目の前の視聴率にとらわれず、長い目で見て(ドラマ制作に)頭を痛めるべき」と話している。