インタビュー:がんに打ち勝ったオム・ジョンファ(上)


 オム・ジョンファ(41)をありのままに説明できるのは、オム・ジョンファという言葉しかなさそうだ。

 華やかな舞台の女王で、信頼されている女優でもあるオム・ジョンファ、何と20年近く自身の座を守ってきた。目標にする人物は特にいないが、「オム・ジョンファさんが私の目標」という後輩は増えている。歌と演技をこなし、歌手・女優のどちらか一つに属するのではない位置にも慣れたし、それを楽しんでいる。

 6月2日公開の映画『ママ』(チェ・イクファン監督)でオム・ジョンファが演じているのは、1人で病気の息子を育てるたくましい母親だ。ふっくらと肉付きがいい顔は、果たして彼女が「パフォーマンスの女王オム・ジョンファ」と同じ人物なのか、思わず疑ってしまうほどだ。「ヤクルトおばさん」の制服もビシッと着こなし、リヤカーを押したり引いたりしながらさっそうと日々を生きる。しかし、突然直面したがん宣告に、見ている人々もため息をつく。

 オム・ジョンファもそうだった。昨年、甲状腺がんに打ち勝ち、芸能活動を再開したオム・ジョンファは「二度とあんな目には遭いたくなかった」と吐露したが「それでも自分のことを見て勇気づけられたという人々のメッセージに応えたい」と語った。そうだ。彼女はオム・ジョンファなのだ。

-映画を見た感想は?

 「悲しかった。自分のシーンで、自分が泣くのはちょっとあれだけど、悲しい話と面白い話がうまく散りばめられている感じというか…」

-ご自身ががんを経験したばかりで、このような役を演じるのは容易でなかったのでは?

 「映画が伝えようとしているメッセージがとてもよかった。希望というメッセージが。わたしと同じ問題を抱えている方々から勇気づけられたというメッセージをいただいた。絶望している人々に希望を伝えるという役割が果たせたようだ。簡単ではなかった。撮影途中で『もうできない』と言ったこともあった。感情的にも非常に重く、ああいうことを経験したくなかった。しかし、そうした方々のメッセージにわたしも励まされ、『それに応えたい、何かをお伝えしたい』と思った」

-実際に映画では、絶望の中に見つけた「希望」というメッセージが強く迫ってくる。

 「今回の映画はそうなってほしいと思った。幸いにもそれが可能だった。そうでなければもっとつらかったはず。実際、もう二度とああいう目には遭いたくなかった。手術室のシーンはつらいとも思った。でも、何か優しい気持ちで演じられた気もする」

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