「けんかがあった」「いや、なかった」
25日に一日中、複数のポータルサイトで熱く交わされた論争だ。それだけのことはあった。論争の渦中にあるのは、毎週爆発的な反響を呼んでいる「私は歌手だ」だ。これは、バラエティー番組『私たちの日曜日の夜』(MBC)の1コーナーで、毎週7人の実力派歌手が登場、自身の持ち歌ではない曲を歌い、勝ち残りを目指すものだ。
事の経緯は以下の通りだ。今月23日に「私は歌手だ」の収録があった。イム・ジェボムが盲腸の手術をしたばかりで出演せず、キム・ヨヌが最下位で脱落したところに、オク・ジュヒョンとJKキム・ドンウクが新たに加わって行われた初めての収録だった。収録が終わり、制作スタッフと歌手たちがミーティングを行った時、「出演歌手の一部が突然、大声で言い合いを始めた」というものだ。言い合いになった歌手が誰なのかは分かっていないが、インターネット上には「現場スタッフの証言」として実名が出ている。
「私は歌手だ」の演出をしているシン・ジョンス・プロデューサーは本紙の電話取材に「その日は、歌手たちの間で多少摩擦があった」と答えた。何らかの「事件」があったということだ。だが、同プロデューサーは「非常にささいなことで、すぐに収まった。和解の場ではとても雰囲気が良かった」と言った。仕事への影響が大きくなることを懸念し、「火消し」に尽力している様子がうかがえる。
こうした説明にもかかわらず、インターネット上には複数のうわさが急速に広まっている。「歌手同士でミーティングをしていた時、出演者がほかの歌手に大声を上げ、会議室から飛び出した」「オク・ジュヒョンとJKキム・ドンウクが新たに投入され、歌手たちの間でいっそうピリピリした神経戦が繰り広げられた」「ある歌手が自分の歌の時だけ特別にオーケストラを要求したのが発端だった」などだ。
番組関係者らは「うわさの真偽とは関係なく、番組の人気が高まり、歌手たちが感じる緊張感もそれだけ強まっている証拠」と口をそろえる。ある関係者は「特にミッション曲により順位が決まり、それに伴い音源の数まで左右されるため、自分に比較的有利な曲、大衆が好むジャンルの曲に当たることを望む歌手たちの探り合いがすさまじい」と話す。また、「出演歌手の多くがジャンル的に大勢の人々が好むバラードを歌いたがる」とも言った。
ある出演歌手のマネージャーは「これまでの出演者は比較的物静かに競い合っていたが、新たな歌手が投入され、緊張感が大幅に高まったのは事実。特に、ミッション曲を決める会議や、歌う順番を決める場で、歌手同士の神経戦がピークに達する」と教えてくれた。 「23日の口論」も、こうしたことが背景にあると見られている。「私は歌手だ」は何かと有名税を払っているということだ。