慶州の春、異国人の心をリフレッシュ

慶州旅行記(1)

 韓国に来て4年目だが、学業のため、旅行する機会はそう多くなかった。もちろん、光州・全州・慶州・公州・扶余・済州島などに行ったことはあるが、セミナーや現地調査などの延長線で行ったもので、観光する余裕は全くなかった。

 慶州は3回目の訪問だが、実に久しぶりの余暇だった。暖かい日差しと春風を体いっぱいに受けた4月のある日、長年の親友と一緒に、疲れた心と体をリフレッシュし、充電する旅に出た。

 「千年の古都」という点で見れば、慶州は中国の西安とよく似ている。悠久の歴史を持つ輝かしい文化遺産としての慶州は、優雅で気品ある姿を見せてくれる。

風景1:雁鴨池の夜景

 ライトアップされていたためか、千年王宮の宮殿は薄いベールに包まれたように神秘的だった。その日の夜はしとしとと雨が降っていた。それでも、かなりご年配のお年寄り、愛をささやく若いカップル、ベビーカーを押す若い夫婦など、庭園は観光客でいっぱいだった。春を満喫する人々も、春の夜の風景の一部だった。雁鴨池の夜は過去と現在、いにしえの建築物と現在の人々の心が通い合いつくり上げられたものだった。

風景2:美しい普門湖

 広大な人工湖の周囲には数多くの桜が植えられている。4月上旬になると桜の花が満開になり、青い湖に美しい桜が映る。春風が湖を滑るように吹き渡り、穏やかな波を立てる。日差しは湖の上で砕け散り、まばゆい銀色の光を放つ。道は人の波で足の踏み場もないが、その笑顔は春の風をはらんでいる。「普門湖の春」という一幅の絵がそこにあった。


風景3:桜マラソン大会

 慶州に到着した翌日は、ちょうど「第20回桜マラソン大会」が行われた日だった。正午ごろ、選手たちは私の目の前を次々と駆け抜けていった。お年寄り、若者、そして驚いたことにベビーカーを押しながら走る若い母親も。果敢に挑戦する選手たちに深い敬意を表すのと同時に、自分でも気付かないうちにこぶしをギュッと握りしめ、ランナーを応援していた。異国人である私にとって、慶州で偶然出会った意外な異国の風景だった。

 慶州に行ってぜいたくができるのは風景だけではない。慶州には「味」がある。ここはおいしい食べ物が特に多いが、中でも代表的なのは「慶州サムバプ」と「皇南パン」だ。

 「慶州サムバプ」は中国人にとってはあまりなじみがない料理だ。いろいろな野菜の葉の上に独特なソース(サムジャン)と豚肉、最後にご飯をのせ、くるんで食べるもので、その味は絶品だ。肉と野菜がハーモニーを織り成し、栄養も満点の健康的な一品。サムバプに欠かせないのがテンジャンチゲ(韓国みそ鍋)。この二つの組み合わせは最強だ。

 「皇南パン」は薄い皮の中にあんをぎっしり詰めたデザートの1種。一口ほおばると、柔らかい甘さが口の中に広がる。油っぽさは全くない。

 慶州に初めて来たときはホテル、2回目はテンプルステイ(寺の宿坊)、3回目は慶州の代表的な韓国式建築の家「月庵斎」に宿泊した。床に横になると、オンドル(床暖房)のぬくもりが背中から全身に広がる。「暖かいのに体がスッとする」という矛盾した言葉が初めて実感できた。心臓が地面に近いところにあると、まるで大地の息づかいや脈が伝わってくるようだ。

文=イェン・クーエイ

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