ドラマ『推奴(チュノ)』のイ・デギル役に『マイダス』のキム・ドヒョン役。これは、チャン・ヒョクが最近演じた役だ。奴隷とアナリストという全く異なる役柄だが、どちらとも男性的な魅力溢れるキャラクターだ。
そのせいだろうか。イ・デギルとキム・ドヒョンというキャラクターに息を吹き込んだチャン・ヒョクは、寡黙な人なのではないかという先入観があった。しかし実際は全く違っていた。『マイダス』が最終回を迎えたころ、ソウル市江南区狸鴎亭洞のカフェ「マンゴーシックス」で会ったチャン・ヒョクは、とてもおしゃべりな男性だった。
「僕はインタビューが好きです」
意外だった。全21話のドラマが終盤を迎え徹夜の撮影が続き、体力的にもつらい時期だったはずだ。それに加え、7、8時間にわたり続くインタビューで同じような話を繰り返すことは、俳優にとって苦痛なはずだ。
しかしチャン・ヒョクの考え方は違っていた。インタビューも俳優の仕事の一つだと考えているという。何らかの役を演じた後、自分の役割について、インタビューを通して説明することができるというわけだ。質問一つに10分間熱弁をふるうチャン・ヒョクの姿から、「情熱」という言葉が思い浮かんだ。デビュー初期、撮影現場で使ういすに自分で書いたという「情熱」という言葉は、15年が過ぎた今でも有効だ。
チャン・ヒョクは『マイダス』で演じたキム・ドヒョンを正確に分析していた。キャラクターに対する徹底した分析は、チャン・ヒョクの大きな長所でもある。
「『マイダス』は信頼のない世の中を生きるキム・ドヒョンの物語。利害関係のため、昨日の敵がきょうの味方になることもある。キム・ドヒョンにとって幸せの価値はお金。子どものころ目にした、お金をめぐる母親の愛憎劇が、キム・ドヒョンという人間を作り上げた。ただし、途中でチョン・ヨン(イ・ミンジョン)という人物と出会い変わった」
もちろん残念な点もあった。経済専門ドラマでアナリストを演じたが、ドラマの前半、経済全般に対する理解度がやや低かったことが演技に影響を与えた。
「初めて挑戦する役だったため、演技をしながら理解していく部分があった。ドラマが進むにつれ経済の知識が増えていったため、前半と後半のキム・ドヒョンは少し違っていたと思う」