視聴者「息が詰まるほどの経験」
イム・ジェボムら新メンバー熱唱に評価団も涙
「公平性」が問われ、自主的に放送を1カ月間中止した後、1日に再開した「私は歌手だ」は、ひとまず再起への足場を整えたと評価されている。これは、バラエティー番組『私たちの日曜日の夜』(MBC)の1コーナーで、毎週7人の実力派歌手が登場、自身の曲ではない曲を歌い、勝ち残りを目指すものだ。1日に再びお茶の間に流れることになった「私は歌手だ」への関心の高さは、その視聴率で証明された。前回の放送で4.4%(AGBニールセン・メディアリサーチ調べ)だった視聴率は、同日に2倍以上の10.6%を記録した。
視聴者の関心は、イム・ジェボム、BMK、キム・ヨヌら新たにコンテストに加わった歌手3人に集中した。3人はそれぞれ、ヒット曲「君のために」「春が来れば」「今もきれいなのか」を歌った。スタジオで歌を直接聞いた観客評価団は熱狂した。一部は涙を流していた。視聴者掲示板には「イム・ジェボムの歌を聞いていたら、息が止まりそうになった」「BMKの歌は、切実な感情と痛快な歌唱力が完ぺきなハーモニーを織りなしている」「全音程をあれほど正確に表現できる歌手はキム・ヨヌしかない」といった賛辞が並んだ。
これまでの参加アーティストで、あまり有名でない自身の曲「迷子」を歌ったリナ・パークに高い評価が寄せられた。結局、この日の観客評価団調査では、イム・ジェボムが1位、リナ・パークが2位になり、ユン・ドヒョン、BMK、イ・ソラ、キム・ヨヌ、キム・ボムスの順で続いた。イム・ジェボムは同日夜、自身の公式ファンサイトに「わたしのことでいろいろ心配してくださったファンの皆さんに、小さいながらもプレゼントができました。感謝申し上げます」と書き込んだ。
制作スタッフは、今回の放送から新ルールを適用した。これまでは1回歌った結果だけで脱落者を決めたが、これからは2回の成績で脱落者を決める。1日の歌は、放送再開に伴う新出演者の紹介という要素が強く、本格的な歌のコンテストは8日放送分から行われる。
この日の放送直後、複数の音楽配信サイトの人気ランキングは、「私は歌手だ」出演者が歌った曲が占めた。「ソリパダ」「BUGS」などでは、イム・ジェボムの「君のために」が2日間にわたりリアルタイム・ランキング1位になったほか、「春が来れば」「迷子」も10位以内に入った。「私は歌手だ」に対する一般の支持も確認できたことになる。MBCは「私は歌手だ」の配信売上で数十億ウォン(10億ウォン=約7600万円)台の利益を上げるのでは、と予想している。
専門家らは、こうした「私は歌手だ」ブーム再燃の兆しについて、期待と懸念の目を同時に向けている。ポピュラーミュージック評論家のキム・ジャッカ氏は「問題点もあるが、はっきりしているのは『私は歌手だ』がアイドル一色のK-POP界に新たな変化をもたらすということ」と話す。しかし、芸能プロダクション「キューブ・エンターテインメント」のホン・スンソン代表は「地上波テレビ局は自局を通して直接広告しながら、歌で商売しているのと同じ」と言っている。