スターのギャラはトップシークレット

多ければ非難され、少なければ次のギャラ上がらず


 先月末、映画『タチャ イカサマ師』のチェ・ドンフン監督が新作『泥棒たち』にキム・ユンソク、キム・ヘス、チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、オ・ダルス、キム・スヒョンらをキャスティングしたというニュースが伝えられると、人々の関心は「ギャラ(出演料)」に集中した。いくら払えばこれほどのトップスターを1本の映画に集められるのか、ということだ。映画制作会社関係者は「約20億ウォン(約1億5600万円)掛かった」と話す。しかし「誰が一番ギャラをもらっているのか」という質問には口を閉ざした。「映画俳優の出演料は話さないのが業界の慣例です」。このように、韓国映画界では俳優、特にトップスターの出演料を明かさないのが長年の慣行になっている。なぜこうなったのだろうか。

 最も有力な説は「俳優がギャラを上げるため」というもの。「今回の映画でいくらもらったかが分かってしまうと、次の映画で出演料の交渉に支障が出る」(芸能プロダクション関係者)というのだ。

 ギャラが公表されていないため、自身のギャラを実際より高く語る俳優もいる。ある映画制作会社の関係者は「こちらは3億ウォン(約2300万円)払ったのに『5億ウォン(約3900万円)もらった』とあちこちで触れ回る俳優もいた。突然人気が出た新人俳優ほど、こうしたケースが多い」と話す。また「出演料1000万ウォン(約78万円)台で脇役として出演し、突然ブレークした新進俳優は、次の作品の出演料を交渉する前『前作のギャラがばれるのでは』と心配し、びくびくしていた」とも。「新人俳優には一番初めに『周囲に出演料の話をしないように』と口止めする芸能プロダクションもある」(映画PR会社関係者)。

 一方、出演料が周囲の推定より「多すぎて」公表を渋る俳優もいる。映画会社関係者は「映画制作の環境は劣悪なのが現実だが、そうした中で『1人だけもうけている』と非難される可能性があるからだろう」と語る。

 ある映画配給会社の関係者は「韓国には、俳優が億単位(1億ウォン=約780万円)の出演料を受け取るのを自然なことだと受け入れられないムードがある。ハリウッド俳優たちが数百万ドル(100万ドル=約8500万円)に達する出演料をためらうことなく公表できるのは、大衆がこれを認めてくれるから」と分析した。

 映画制作会社の幹部は「クランクインと同時にインタビューやCM撮影などほかの活動をやめて、演技に打ち込む俳優たちの姿を見ると、数億ウォンの出演料でも惜しいとは思わない。本当に嫌われるのは、演技力もなく、観客動員力も保障されていないのに、一時的な人気で高いギャラを受け取ろうとする俳優たち」と率直に語った。

ピョン・ヒウォン記者
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