CM撮影でわがまま通すスターたち

食品CMで「食べるシーンはNG」


 「僕、まだ結婚していないでしょ。だから父親のように見えるシーンは絶対に撮りませんよ」

 先日、男性衣類のCMの撮影現場。韓流スターのAさんはCMの台本に目を通すと、すぐに顔をしかめた。スポンサーが30-40代の男性をターゲットに、「家族のように楽な服」というコンセプトで温かい家庭のイメージを注文したのが事の発端だった。Aさんは「独身のイメージに傷が付くかもしれない。子どもや主婦モデルとは一緒に立ちたくない」と話した。結局、画面にはAさんだけが登場した。そして、4億ウォン(約3100万円)を受け取った。広告会社の関係者によると「AさんのようにCM撮影現場でごねるスターのせいで、頭を抱えるケースは少なくない」という。

 女性トップスターのBさんは数年前、炊飯器のCM撮影で「食事をするシーンは撮ることができない」と粘った。スポンサーの立場から言えば、炊飯器のCMでご飯を食べないと言われたら怒るのは当然のこと。当初の絵コンテには、Bさんが湯気の立ち上る炊きたてご飯を美しい口に入れるシーンがあった。しかし、結局はBさんの意向が貫かれた。CMにはBさんが笑顔で炊飯器を抱えるシーンが出た。Bさんは「エレベーターがなく、階段を上って行かなければならないスタジオでは仕事ができない」と撮影を拒否したこともあるそうだ。

 このごろ人気が上昇している歌手で俳優のCさんは、広告業界関係者の間で有名な「ごねるスター」の一人だ。Cさんは特に、撮影スケジュールを一方的に決めることで悪名高い。女性共演者と一緒に撮影しなければならないのに、スケジュールを合わせようとせず、自分のスケジュールだけを一方的に押し付けるという。このため、Cさんをモデルに起用したあるアパレル会社は、女性共演者の写真を別撮りし、Cさんの写真と合成したという。Cさんのモデル料は4億ウォンだった。Cさんは食品の広告撮影でも「食べるシーンは絶対にだめだ」と突っぱね、スポンサーをあきれさせた。

 撮影が全て終わっていなくても、個人のスケジュールを理由に一方的に撤収するのは日常茶飯事だ。あるアパレル業界関係者は「スポンサーや撮影監督の意向は聞かず、自分勝手に『Aカット(一番いい写真)が出たから、もうおしまい』と帰ってしまうスターもいた」と証言する。

 ある広告会社の幹部は「仕事上の道義を無視する芸能人に対しては、業界ですぐに『プロらしくない』という評判が広まり、CMモデルとして長続きしなくなる。人気は一時的なバブルにすぎないということが分かっていれば、あんなことはできないだろう」と語った。

チェ・ミンギ記者
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