ハンセン病:「歌王」チョー・ヨンピルが小鹿島を訪問(下)

 観客たちの熱気に、チョー・ヨンピルもじっとしてはいなかった。再びステージから客席に下りて、観客と一緒にマイクを手に肩を組み、声を合わせた。ハンセン病患者たちははっきりとした発音ではないが、チョー・ヨンピル以上に大きな声を出した。「歌王」と一緒に大きなカラオケで歌っているかのようだった。

 1時間にわたり10曲余りを披露したチョー・ヨンピルは、昨年出会ったハンセン病患者たちのことをはっきりと覚えていた。「『すごい』と言いながら歌っていた方はどこにいらっしゃいますか?」と聞くと、観客の1人が「その方は最近、かなり体調が悪く、来たくても来られませんでした」と答えた。最後にチョー・ヨンピルは「どうか、どうかお元気になってほしいと願っています。そして毎日幸せに過ごしてほしいです。また会いましょう」とあいさつし、ステージを後にした。

 ハンセン病患者たちは、公演終了後もその場を離れず、チョー・ヨンピルに声をかけては先を争うように記念撮影を頼んだ。チョー・ヨンピルは笑顔で1人1人に応じた。この病院に入院して13年目のイ・ガンジンさん(60)は「昔からチョー・ヨンピルさんが好きでしたが、今日の感動は言葉で言い表せません。これほどの大物歌手が私たちと交わした約束をきちんと守ってくれること自体、どれだけすごいことか」と話した。キム・ソンムンさん(85)は「45年間この病院にいますが、これほど温かい心の癒しをもらったことはありません。外部の人が私たちの手をこんなに温かく握ってくれたことがあったでしょうか」と熱く語った。


 チョー・ヨンピルは公演前、所属事務所に「公演のことをメディアには絶対に公表しないでほしい」と頼んでいたという。ある関係者は「どういうルートかは分からないが、14日午後にインターネットで公演の情報が伝えられると、チョー・ヨンピルさんは日程を変更すべきか真剣に悩んでいました」と話す。チョー・ヨンピルは公演直後、記者に会い「いかにも恩着せがましくしていると思われるのが嫌で、(公演の情報が)伝えられるのを心配しました」と説明した。

小鹿島=崔承賢(チェ・スンヒョン)記者
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