インタビュー:ハン・ジミン「わたしがセクシーですって?」(上)

「タン・ウェイさん、コン・リーさんを見て練習しました」


 「ファム・ファタール(魔性の女)」という言葉とハン・ジミンはピンと来る組み合わせではない。これまで時代劇や現代ドラマで主に清純なイメージの役を演じてきたハン・ジミンが、3本目の映画出演作『朝鮮名探偵:トリカブトの秘密』(以下、『朝鮮名探偵』)で新たな冒険に挑んだ。

 「『時代劇だから当然女性らしい、おしとやかな役だろう』と思って、台本を受け取ってもしばらく目を通さなかったんです。後で早く読むように言われて台本を開いてからは一気に読んだのですが、すっかりハマりました」

 彼女の言葉通り、『朝鮮名探偵』でハン・ジミンが演じているハン客主はさまざまな顔を持つ興味深い人物。「客主」とは朝鮮時代に旅商人たちを宿泊させたり、商品の委託販売・金融などを取り仕切った人物のこと。朝鮮第22代王・正祖の時代、名探偵(キム・ミョンミン)が年貢不正事件の解明に乗り出すにあたり、事件のカギを握る神秘的な女性の役だ。


 色気がにおい立つ美しさを持ちながら、知的で心の内に何かを秘めている、というのがハン・ジミン演じるハン客主の人物設定だ。

 「基本的に、わたしに魔性の女のイメージは合わないと思いました。でも、この役は一般的に『セクシーだ』と言うときに思い浮かべるイメージと大きく違っていたので、なおのこと演じたいと思いました」

 ハン・ジミンは「時代劇なので、衣装や動きなどで見せるセクシーさよりも、視線や印象で与える雰囲気の方が重要でした。視線の移し方や目を開けたり閉じたりする細かなしぐさ、何もしていなくても微妙なニュアンスを出すことに集中しました」と話す。


 そこで参考にしたのが、中国人女優たちの演技だったそうだ。撮影前、ハン・ジミンは『ラスト、コーション』のタン・ウェイ(湯唯)や『SAYURI』『王妃の紋章』のコン・リーらの演技を見て、「何かに取りつかれたような色気」を出そうと努力した。

 特によく動いているという印象がないのに、セクシーさを表現する中国人女優の姿から、いくつかのヒントを得たというハン・ジミン。「太い(医療用の)はりを手に取るシーンでは指をどのようにするか、誰かをにらみつけるシーンでは上から下へと見下ろすようにして目を見開く姿などを何度となく思い浮かべ、役作りをしていきました」

 年齢を重ねたことで得た自信も役作りの一助になった。

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