アクションシーンを撮影中、タイミングが合わずヒヤッとした瞬間もあった。格闘シーンで失敗し、あばら骨にひびが入るというけがをしたのだ。しかし撮影を中断するわけにはいかず、苦痛に耐えながら、3分の1ほど残っていた撮影をようやく終えたという。「当時は笑うととても痛くて、息が吸えないほどだった。だから隣で誰かが笑っているのを見ると腹が立った」と当時のエピソードを語った。
いつの間にか「誘惑に負けない」不惑の年(40歳)に差し掛かったキム・ミョンミンだが、俳優としては緊張を緩めることはできないという。キム・ミョンミンは「毎回、すべての作品ごとに、これが最後だという気持ちで臨まなければ、俳優として生き残ることは難しいと思う。特に、俳優は短い間にたくさんのキャラクターを繰り返し演じなけれならないため、人並み以上の精神力と強い意志がなければうつ病などにかかりやすく、ひどい場合には自殺の衝動を感じることもある」と語る。
また、「俳優は精神力を使うと同時に、さまざまな視点からたくさんの部分が露出してしまうため、耐える力が強くなければならない」という。
では、自宅でのキム・ミョンミンはどうなのか。「家族は、撮影中とても神経質になっている僕を避け、足音も立てずに歩くほど気を使ってくれる。その代わり、一つの作品が終わったら、必ず一緒に旅行に出掛けることでストレスを解消し、家族と一緒に過ごす時間を持つようにしている」と言って笑った。
常に挑戦をいとわないキム・ミョンミンだが、「俳優」という職業には強い意志が必要だ、と繰り返し強調した。
「僕にも数年間、つらい時期があった。あきらめようと思うこともあったが、偶然と努力が道を作り、ここまで来ることができた。時々、家族の大きな援助を受けて俳優になる準備をしている人がいるけれど、弱過ぎて、苦労ばかりして辞めていくケースが多いような気がする。
本人がすべてを足台にして立ち上がる準備ができているならば、エールを送りたい」