「韓国美人女優の公式」はキム・テヒの中にある(下)

ピエロ的な演技で復活

 『マイ・プリンセス』 のキム・テヒはこっけいな「ピエロ」だ。ソウル大学卒という高学歴女優キム・テヒが、ドラマで見せるこっけいで情けない姿に大衆は快感を感じる。『IRIS-アイリス-』の激しいアクションでもぬぐい去れなかった演技力批判はそうして鎮まった。

 多くの美人女優たちがリスクを冒しながらもこうした方法でピンチを乗り越えてきた。同じく演技力で批判の的になっていたファン・ジョンウムは09年、『明日に向かってハイキック』での「奇行」を繰り返すコミカルな演技でスターダムにのし上がった。『僕の妻はスーパーウーマン』や『逆転の女王』で人気のキム・ナムジュも、出産と育児による8年間のブランクを、ハチャメチャでパワフルな主婦を演じることで乗り越えた。

 ドラマ評論家のコン・ヒギョン氏は「俳優が予想外のイメージ・チェンジを遂げると、一応は応援する人が増える。しかし、その後の作品でこれまでのイメージ通りの役を演じ、演技力を指摘する声が上がれば、致命傷になる可能性がある」と語った。キム・テヒの演技が本当に試されるのは『マイ・プリンセス』以降の話ということだ。

映画は乗り越えるのが難しい壁

 キム・テヒはドラマよりも映画の方で苦戦した。『レストレス‐中天‐』『けんか』『グランプリ』など、キム・テヒを前面に押し出した映画の興行成績はパッとしなかった。キム・テヒだけではなく、テレビで脚光を浴びた美人女優は、銀幕で歓迎されないことが多い。演技大賞を2回も受賞したコ・ヒョンジョンでも、映画ではこれといったヒットがない。キム・ヒソン、コ・ソヨン、シン・ミナらも同様だ。

 映画評論家チョン・チャンイル氏は「演技法も、メディアを消費する対象も違うため、テレビで人気者になった女優が映画ではそっぽを向かれることもある」と話す。映画コラムニストのファン・ヒヨン氏は「韓国映画界が掘り下げようとする素材やテーマはほとんどが荒々しく男性的なものなので、女優が引き立つ脚本自体が珍しい。映画だけにこだわる女優がなかなかいないのはそうした理由があるから」と分析している。

チェ・スンヒョン記者
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