「韓国美人女優の公式」はキム・テヒの中にある(上)


 「ビーナス(女神)のような美しさ」と賛辞されているのにもかかわらず、女優キム・テヒに対する評価は屈辱的だった。こわばった表情と棒読みのようなせりふ回しは見る人をイライラさせ、出演するたび演技力が取りざたされた。しかし、現在放送中の水木ドラマ『マイ・プリンセス』(MBC)では一味違う。自虐的なほど「壊れた」美女キム・テヒの姿に視聴者は夢中だ。マスカラがにじむほど泣いたり、下痢を我慢したり、おならをしたりと、女優には恐ろしい設定も体当たりで演じている。もちろん、視聴者掲示板には依然としてキム・テヒの欠点を指摘する声も寄せられている。だが重要なのは、『マイ・プリンセス』でイメージをがらりと変えることにより、キム・テヒはこれまで美人女優たちが経験してきた屈辱と栄光のシンボルになったということだ。先輩女優や後輩女優たちとの関係も振り返りながら、キム・テヒの「今」を分析してみた。

悪役からスタートした新人時代

 キム・テヒは悪役でデビューした。ほかの美人女優と比べてもまれなケースだ。キム・テヒは2003年から04年にかけて放送されたドラマ『天国の階段』で、天使のようなヒロイン、ハン・ジョンソ(チェ・ジウ)をいじめて破滅する異母妹ハン・ユリ役を演じ、注目された。演技力についての批判はあまりなかった。にらみ上げ、執拗(しつよう)に大声で叫ぶ悪女ぶりに、視聴者は引き込まれた。

 ソン・ユナも同じような役を経験している。ソン・ユナは1998年のドラマ『ミスターQ』で陰謀を図り、ヒロインのヘウォン(キム・ヒソン)をいじめる下着会社のデザイン室長ファン・ジュリ役を演じ、その後、清純派ヒロインを演じる女優に成長した。ハ・ジウォンも新人時代に映画『真実ゲーム』、ドラマ『秘密』などで毒々しい悪女を演じ、才能を認められた。ドラマ脚本家のキム・インヨン氏は「悪役でデビューし、後に清純なイメージの主演級女優に成長したというのは本人の努力のたまもの」と話す。

CMの方でよく見かける女優

 キム・テヒは映画やドラマよりCMでよく見かける女優だ。作品への出演は2-3年に1回、CMは「レギュラー出演」という美人女優たちはほかにも多い。キム・ヒソン、チョン・ジヒョン、コ・ソヨン、イ・ヨンエなどがそうしたケースだ。シン・ミナやイ・ミンジョンはCM出演で知名度を上げた後、ドラマ・映画に主演クラスでキャスティングされた例だ。キム・テヒも新人時代からCMで顔を知られるようになった。本業でなくお金になる副業に力を入れることに対し、否定的な見方も多い。SBSの雲君一(ウ・ングンイル)元取締役は「俳優はストーリーがある作品で大衆とコミュニケーションを取るべき。CM出演に追われ、作品に取り組まずにいれば俳優生命は短くなるだけ」と語った。

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