青い波しぶきが上がる海に浮かぶ遊覧船、賑やかな音楽とカモメの声…。そんな仁川・月尾島にやって来た。
先日訪れた月尾島では、海を眺めながら埠頭を散歩する恋人たちの姿が目に付いた。
ベンチに座って海の方を眺めると、大小の島や仁川大橋がまるで美しい風景画のように見える。あの風景に少しでも近づきたい。わくわくした気持ちで、月尾島のコスモス遊覧船に乗り込んだ。
船上では、賑やかな音楽が聞こえてきた。船の周りにカモメたちが集まり、老若男女を問わず、カモメに向かってお菓子を投げるなど、乗船客たちが出発前の楽しい時間を過ごしていた。
出航の時間になると、大きな汽笛を上げながら遊覧船が埠頭を出発した。1階ではコスモス遊覧船の自慢の一つ、船上公演が準備されていた。この遊覧船は、韓国で初めて船上公演の許可を取得し、船内でさまざまな公演を楽しむことができる。
まず始めに、ウクライナ・バレエ団の公演が始まった。静かな音楽に合わせ、団員たちはまるで鳥のようにダンスを踊り始めた。柔らかく引き締まった体の動き一つ一つが、観覧客の目をくぎ付けにする。
続いて中国雑技団の公演が始まった。観覧客は、普段なかなか見られない公演に興味津々の様子だった。雑技団は舞台の上であおむけになると、両足で大きなつぼを回し始めた。今にも落ちそうなつぼを上手に回す団員の演技を、観覧客は息を殺して見つめながら、曲芸が成功するたびに大きな拍手と歓声がわき上がった。
さらに、雑技団は大きな食卓を持ち出し、両足でその食卓をグルグルと回し始めた。それを見た人たちは感嘆の声を上げ、一斉に拍手が沸き起こった。雑技団は自分たちの出来栄えに満足した様子で、スクッと立ち上がり、観客に向かって明るい笑顔を振る舞った。
抱川からやって来たというイ・グムスンさん(62)は、「雑技団の団員たちはどうすればあんな曲芸ができるのか、本当に不思議です。遊覧船に乗ったのは初めてですが、こんなに楽しいとは思いませんでした。本当にいい経験をしました」と笑顔で語った。
公演の後、2階のライブ公演場に向かった。ここでは、「思い出の70年代&80年代音楽」を聞きながら外の景色を眺めることができる。人々は窓辺に座り、温かいお茶を飲みながらロマンチックな気分に浸っていた。
そうしているうちに、遊覧船は仁川大橋に差し掛かっていた。その様子を見るため、3階の展望台に向かった。
仁川大橋は、仁川国際空港がある永宗島と松島国際都市を結ぶ橋で、全長18.38キロ。世界で6番目に長い橋だ。遊覧船の上から眺める仁川大橋は、ため息が出るほど雄大な存在感を放っていた。韓国の国民であることを誇りに思う瞬間だった。
遊覧船は仁川大橋の下を通過し、再び月尾島へと向かった。戻る途中、永宗道や芍薬島の間を、真っ赤な夕日が沈んでいく様子が見えた。
夕日が海面に反射し、金色の波を演出している。展望台にいた人たちは、その美しい風景をカメラに収めようと、あちこちでシャッターを切っていた。
携帯電話のカメラで写真を撮っていたキム・チュンナムさん(58)は、「遊覧船の上から仁川大橋を見ると、まるで車が空を飛んでいるかのようです。海の上から眺める景色は本当に素晴らしい。こんなに美しい景色を見たのは初めてです」と話した。
コスモス海洋観光遊覧船のキム・ウンチャン総務代理は、「コスモス遊覧船は月尾島から出航し、仁川大橋の下を通過して戻るコースとなっています。永宗島や仁川国際空港、京仁エナジー、火力発電所、芍薬島など、仁川付近の風景を観覧することができ、所要時間は約1時間30分です」と説明した。
仁川月尾島の遊覧船は都会を離れ、壮大な海を感じながらロマンチックな気分を味わうことができる。この遊覧船に乗るため月尾島を訪れる際は、仁川シティーツアーバスを利用するのが便利だ。
仁川シティーツアーは、毎日午前10時から1時間間隔で仁川駅を出発(仁川駅から月尾島までの所要時間は5分)する。手ごろな料金と便利さで、多くの旅行客が利用している。このほか、月尾島周辺には移民史博物館、仁川港閘門(こうもん)、月尾伝統公園などの名所がある。