インタビュー:『黒く濁る村』カン・ウソク監督&パク・ヘイル


 11月20日にいよいよ日本公開となる映画『黒く濁る村』。韓国で340万人動員の大ヒットとなった心理サスペンスは、2時間41分という上映時間をひと時も飽きさせることなく、ぐいぐいと引き込む。

 メガホンを取ったカン・ウソク監督と、父の死の真相を探ろうとするよそ者ヘグク役で主演を務めたパク・ヘイルにインタビューした。

カン監督は、「最初自分に来たのはこの作品への出資の依頼だったが、どうしても自分が撮りたいと思った」とこの映画を撮ることにした経緯を語った。

 コミック原作であることについては、「漫画は勝手に書いても許されるところがある。飛躍や、時系列を変えても許されるが、映画はそうはいかず、エンディングも決めなければならず苦労した。もうコミックは映画にしたくない」と笑いながら、苦労を明かした。



 さらに「極限の恐怖を表現するのに、直接的な恐怖のシーンよりも、目に見えないもののほうが恐ろしいと思い、そういう映像にした」とその演出手法に触れ、「笑いも随所に入れ、少しずつ明かしていき、心理描写を通して単なるスリラーでないところを表現した」と語った。

 パク・ヘイルは、同作への出演について「原作が以前よりおもしろいと思っていたし、コミックの原作者はぼくをイメージしてこのキャラクターを描いたと聞いた。そしてカン監督が撮られると聞いて参加を決めた」とした。

人気コミックの映画化にプレッシャーはなかったか、と尋ねると、「映画は映画なので、コミックのイメージにこだわる必要はないと思った」とし、「この作品で初めて監督の“気”のようなものを感じた」と監督への信頼感を示した。



カン監督はパク・ヘイルのキャスティングについて「『殺人の追憶』など以前から見ていたが、独特。美男子でか弱く見えるが、それとは違った部分、二面性を持っている。(この役を)やりたいという人は多かったが、彼の独特な俳優というところが気に入り、決めた」と語った。

また、チョン・ヨンドク村長役のチョン・ジェヨンについては、「『シルミド/SILMIDO』で初めて会い、当時は助演クラスだったが将来大きな俳優になると思っていた。演技が素晴らしい。韓国で5本の指に入る俳優」と称賛。

実年齢と比較して、かなりの老け役だったのだが、「実のところ、ベテラン有名俳優らが候補に挙がってはいたが、彼のキャスティングに迷いはなかった。年は若いが、ルックスはメークでなんとかすればいいと思った」とチョン・ジェヨンへのこだわりを明かした。彼への強い信頼は、監督が新作『グローブ』でも主演で起用していることからもわかる。



パク・ヘイルは「チョン・ジェヨンさんは年輪、カリスマを出さなければならず、メークにも2、3時間かかったし、対峙(たいじ)する役どころだったので、現場では和気あいあいと過ごすという感じではなく、互いに配慮し合った」とし、「今度は、実年齢に近い役で共演してみたい」と語った。

パク・ヘイル、チョン・ジェヨンほか、ユ・ジュンサン、ユソン、ユ・ヘジンらが出演のサスペンス映画『黒く濁る村』(配給:CJ Entertainment Japan)は11月20日、丸の内TOEI、シネマスクエアとうきゅうほか全国ロードショー。

東京=野崎友子通信員

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