昔の面影残す「都会の中の線路」で思い出旅行

 古い線路と踏み切りは子供のころを思い出させる。一直線に伸びた線路の近くでケンケンしながら遊んだことや、登下校時の楽しい思い出が、どこまでも続く長いレールのように、次々とよみがえってくる。今では銀色の高速列車が一般的になってしまったが、ソウル周辺には1970-80年代の面影を残した線路がある。開発の波にのまれることなく、昔ながらの雰囲気が残る線路の周辺で、時折通り過ぎる列車を見たり、郷愁漂うひっそりとした駅から線路を眺めてみてはいかがだろうか。また一味違った秋の小旅行になるはずだ。

都会の中の田舎道、九老区航洞「線路村」


 ソウル市九老区航洞の周辺には、のどかな農村のような雰囲気を残した線路がある。1998年に開通した九老区梧柳洞-富川生態公園(京畿道富川市玉吉洞)区間、約20キロの「3軍支司(第3軍支援司令部)線」で、最近は貨物列車が1週間に2本ほど走る程度だ。

 地下鉄7号線「天旺駅」の2番出口を出て約300メートル歩くと、「止まれ」の標識がある梧柳第1踏み切りと古い線路がある。この分かれ道から右側の道は梧柳洞方向へ、左側の道は航洞の線路村へと続く。

 列車があまり通らないせいか、古い枕木の間には雑草が生い茂り、周囲に広がる田畑の向こうには梅峰山が見える。春にはモクレン、秋にはコスモスが美しく、カメラを手に訪れる旅行客も多い。

 来年には「ソウル青い樹木園」がオープン予定で、この周辺には、航洞貯水池や、最近はあまり見かけることのない番小屋などがある。過去と現在を結ぶ線路の上を歩く旅行客もいるが、、梧柳洞駅のイ・チャヌ駅長は、「廃線になっていない線路を歩くことは、鉄道法違反に当たる上に危険なため、控えてほしい」と注意を呼び掛けた。

 3軍支司線の終わりの部分から南側に向かう約800メートルの線路は、近くの工場にセメントなどの原料を供給していた「京畿化学線」で、現在は廃線になった区間だ。11月末には「線路と共に思い出の中へ」というテーマの自然生態公園として生まれ変わり、レールバイクも設置される予定だ。この区間は列車が通らないため、安心して線路を歩くことができる。

都会へと続く線路、忠正路

 線路といえば「踏み切り」を思い出す人も多いのではないだろうか。黒い制服姿の駅員が笛を吹くと、長い遮断機が下り、駅員が3色の旗を振りながら危険を知らせていた姿を連想する人も多いだろう。ソウルのど真ん中にも、まだこんな風景が残る「西小門踏み切り」がある。

 西小門の公園の向かいにある高架道路の下には、どこか懐かしい「止まれ」の標識がある。ビルの森の中に列車の到着を知らせる「カンカン」という音が鳴り響くと、人々は一斉に立ち止まり、列車が通り過ぎるのを待つ。忙しい中でも、なかなか消えない「止まれ」のサインがそれほど恨めしくないのは、しばし日常を忘れ、昔の思い出に浸ることができるからかもしれない。

 ソウルの中心部を横切るこの線路は、ムンサンからソウル駅に向かう京義線だ。都心の光化門、西小門付近にあるため、線路に沿って歩くことはできないが、ところどころつながった線路の中間には、独特の雰囲気が漂い、その風景にマッチした食堂も並んでいる。

 忠正路駅8番出口から左手に約100メートル進み、忠正路地区隊(日本の交番に相当)の横の道を入ると、古いマッチ箱のような形をした「線路トッポッキ(もちの唐辛子みそいため)」がある。現在は2代目が引き継いで経営しているこの店では、子どものころ、シュッシュッポッポッという汽車の音を聞きながら食べた昔懐かしいトッポッキを味わうことができる。西小門踏み切りの内側にある「線路横の豚物語」「木製線路」「アルサム・イイダコ」「青瓦生肉」など、昔ながらの情緒溢れる飲食店が会社員たちに人気だ。

ソウルから30分、日迎・松湫・温陵駅

 京畿道高陽市陵谷洞と議政府市を結ぶソウル郊外線には小さな駅がある。ソウル郊外線の幾つかの駅は2004年4月以降、客車の運行が中止され、現在は貨物列車が1日に約25本通過する程度だ。そのため、ここに来るにはバスを利用しなければならない。

 京畿道楊州市長興面にある一迎駅は、地下鉄3号線の仏光駅から360番バス、旧把撥駅から350番バスを利用し、サムサン小学校で降りる。駅務室では、韓国鉄道100周年記念のスタンプを押すことができる。駅舎の外には木造の待合室があり、駅周辺には、典型的な田舎の風景が広がる小さな村がある。ここは、映画『猟奇的な彼女』をはじめ、映画やCMのロケ地としてもよく利用される。


 地下鉄1号線の議政府駅から23番バスに乗り、松湫遊園地の停留所で降りると、京畿道楊州市長興面の松湫駅がある。静かでひっそりとした駅の近くにある松湫遊園地に、ぜひ足を伸ばしてみてはいかがだろうか。松湫駅の次にある温陵駅は、駅名を知らせる看板すらなく、プラットホームの間に雑草が生い茂り、山と谷が一体となった田舎を連想させる。地下鉄3号線の旧把撥駅から360番、7725番のバスを利用する。

 温陵駅から長興駅まで続くこの区間には、全長177メートルの日迎トンネルがあるが、トンネルの間から差し込む明るい光が神秘的な印象を与える。しかし、この線路やトンネルの中の歩くのは禁止されているため、くれぐれもご注意を。

シン・スヨン記者
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