カン・ドンウォンは誰が何と言おうと完ぺき主義者だ。インタビュー一つにしてもそうだ。どこか冷たいような第一印象とは違い、ゆっくりと話す姿は、意外なほど素朴な印象を受ける。
そのゆっくりした話し方の中で、言葉一つ一つ慎重に選び、間違った表現だと感じたらすぐに訂正する姿から、あらためてカン・ドンウォンの完ぺき主義者ぶりを感じる。
しかし、この俳優は少しずつソフトになっている。2007年に出演した映画『M』(イ・ミョンセ監督)に続き、昨年の『田禹治(チョン・ウチ)』(チェ・ドンフン監督)、今年公開された『義兄弟 SECRET REUNION』(チャン・フン監督)まで、作品を経るごとに、多くの人々との出会いの中で少しずつ変わってきたのかもしれない。
カン・ドンウォン自らも、「最近は、撮影現場がまさに僕を幸せにしてくれる職場。同じ方向を見ながら前進するベンチャー企業のようなもの」だと話す。撮影現場にいるときが一番リラックスできるという話からも分かるように、少し角の残っていた20代後半のカン・ドンウォンは今、幾つかの作品を経て、余裕のある表情で30歳を迎えようとしている。
「毎回違うキャラクターで観客に向かい合うということに誇りを感じる」と話すカン・ドンウォンが今回選んだ役は、平凡でありたいという思いを胸に抱く超能力者「チョイン」。新鋭キム・ミンソク監督のデビュー作でもある映画『超能力者』は、相手を見るだけで心を読み取ることができる特別な能力を持った超能力者(カン・ドンウォン)が、その能力が通じない人間(コ・ス)に出会ったことにより繰り広げられる対決を描いている。
-映画の中のチョインは、普通の人が持たない能力のために、平凡であることを願いながらも、そうできない人物。俳優カン・ドンウォンとどこか似ているとも思えるが。
「そんなことはない。僕は平凡に生きたいとは思っていない。ただ、仕事が仕事なだけに、プライベートな面である程度、我慢しなければならない点があると思う。大通りを歩けなかったり、人がたくさんいる所に行けなくても気にしない。僕のプライベートさえ守れれば、いくらでも幸せを感じられると思う」
-プライベートが露出してしまうことに対し、常にストレスを感じているのではないか。
「ある程度の線さえ守ることができればいいと思っているが、大変な部分もある。でも、できるだけ楽しく過ごしたいから、仕事をしているときは本当に楽しむようにしている」
-新鋭監督の作品だが、どんな面に引かれて出演することにしたのか。
「シナリオを読んだ後、監督に初めて会ったのだが、どこか不思議ですごく素敵な人という印象だった。『この脚本を書いた人を、この目で確認しなければ』と思って会ってみたところ、『本物』だと感じ、その場で出演を決めた」
-シナリオのどんな面に最も魅力を感じたのか。
「超能力というテーマを新たに解釈したところが興味深かった。新鮮なテーマをよくある方法で解釈したというか…。だから、ファンタジー的なテーマ自体より、ドラマ性の強い作品といえる。人物の方にフォーカスを当てている部分も印象的だった」