―撮影で一番大変だったというシーンは。
「撮影は睡眠不足が続いていたのですが、末っ子のシェフのアシスタントが辞めてしまい、シェフと一緒に探しに追いかけるというシーンがあります。そのシーンの撮影時は、3、4日間、移動時間に車の中で30分くらい寝るという状況で、シェフもわたしも「最悪だ、このままでは死んでしまう」とお互い言い合っていました。このシーンは二人だけの撮影シーンだったので全く睡眠がとれず本当に大変でしたし、厨房のシーンも眠れずに大変でした」
―ドラマの延長が決まった時はどのように思われましたか。
「過酷なスケジュールの中、延長の話を聞いて、監督、イ・ソンギュンさん、わたしも迷わず『出来ません』と答えました。こんな状況で撮影を進めていたら、誰か死人が出ると口をそろえて言っていました(笑)。監督は料理のシーンに労力、時間をかけますし、不眠不休で撮影を続けていたらドラマがきちんと撮り終えられるはずがないと。でもいざ放送されているのを見るとドラマも楽しく、視聴率も高く、強い要望もありまして悩んだ揚げ句、延長を決めました」
―「内助の女王」と呼ばれていますが、それについてどう思われますか。
「わたしとドラマ共演した俳優さんは、コン・ユさん、チャン・ヒョクさん、皆さん韓流スターになったなと思ったことがあります。相手の俳優さんの知名度やキャラクターも重要な要素ですが、やはりそのドラマに似合っているか、わたしの相手役としてうまく溶け込んで似合っているかどうかを慎重に考えて、キャスティングには積極的に意見を言います。結果、作品が評価されたり、男優さんがうまく溶け込めずに苦労したということなく、おかげで、内助がうまいという評価がいただいたのかもしれません」
―そのために特に努力していることはありますか。
「ドラマの役を演じる時に相手の俳優さんが、わたし自身の姿を見るのではなく、そのキャラクターとしてわたしを見られるように、なるべくそのキャラクターイメージを崩さないようにすることを心掛けています」
―このドラマのキャスティングについては、どうでしたか。
「今回も意見を出しました。相手役には、今までも怖いキャラクターを演じてきた俳優さんが候補に挙がってきたのですが、それでは今まで演じてきた役の二番煎じになるのではと言いましたし、最終的に相手のキャスティングが決まるまで、自分の出演を保留にして、納得のいくキャスティングの状況になってから出演を決めました」
―相手役には非常にこだわるということですね。
「相手の方とのシナジー効果が出せないのであれば、ドラマの質にもかかわってくると思います。演技をしながら相手の方とのトーンがあったり、息があったりというのは重要なこと。相手と演技のトーンがかみあわないと自分の感情もうまくつかめなくなってしまうんです。実際、相性のよくない人同志がラブストーリーを演じるのは無理がありますし、それは演技の面、ドラマにも出てくると思うんです。ですからわたしは、異性として好きということではなく、俳優として好感が持てる人と共演をすることが重要だと考えています」
シリアスでもコミカルなものでも、作品によってガラっとその表情を変えるコン・ヒョジン。しかし、どの作品でも相手との距離感、空気感などが絶妙と感じていたが、彼女の相手役に対する強いこだわりを知り、その理由がわかった気がした。
コン・ヒョジンほか、イ・ソンギュン、アレックス、イ・ハニら出演の『パスタ〜恋が出来るまで〜』(発売元:カルチュア・パブリッシャース)はDVD-BOX1が12月22日に、DVD-BOX2が2011年1月5日に発売される。
東京=野崎友子通信員