スエが挑戦状をたたき付けた。14日に公開された映画『深夜のFM』で、連続殺人犯に子どもを人質として取られるシングルマザーのラジオDJを演じたスエ。初のジャンルであり、初の母親の役だ。
スエはこれまで、優しいけれど芯は強い女性の役を主に演じ、優雅で古典的なイメージを維持してきた。そんなスエが、『深夜のFM』に続き、ドラマ『アテナ:戦争の女神』でもイメージチェンジを図ろうとしている。挑戦より安定を選んできたかのように見えたスエに、どんな心境の変化があったのだろうか。
-『深夜のFM』のシナリオを見ると、ヒロインをあなたが演じるとは思えなかった。避けていたタイプの役ではないか。
「1年前にシナリオを受け取った時、これは“わたしの服”ではないなと思った。それが、1年後に再びシナリオを読んでみたら、同じ作品とは思えないくらい、魅力を感じた。わたしが変わったせいかもしれないし、成長したいという欲求のせいかもしれない。ずっとエネルギーを噴出させたいと思っていた。これまでは殺される役が多かったけれど、今度は殺すことも(笑)」
-変化を求めるようになったのは30代になってからか。それとも『ティファニーで朝食を』の撮影が中断されるなど、これまで経験しなかったさまざまな出来事があったせいか。
「『ティファニーで朝食を』のときは、それほど強いジレンマには陥らなかった。いつかは経験しなければならないことを、人より遅く経験したのかもしれない。いつも変わりたいという欲望はあった。ただ、わたしは自分がうまくできることを一番優先している。やっとその準備が終わったのかもしれない」
-演技は素晴らしかったが、もっとなりふり構わぬ演技が見たかった。
「監督がきれいな方がいいとおっしゃったので…。ほかの皆さんも、女優がきれいな方が観客が感情移入しやすいという意見だったので。でも、わたしは人形のようにかわいらしい顔ではないし、きれいでいることを求められはしたが、きれいじゃなく映る方が良かった。映画的にその作品にのめり込んで、なりふり構わぬ演技をするときが楽しい」
-相手役のユ・ジテと接近するシーンがほとんどないため、演技をするのが難しかったのではないか。
「後でカメラ監督が『映画としては良かったかもしれないが、カメラをあまりにも意識しないため大変だった』とおっしゃっていた。動線から外れた突発的な行動が多かったかもしれない。もともと、何度も発散できないタイプだし、撮影所で楽しむタイプでもないので」