インタビュー:シン・ミナ「九尾狐を演じて成長した」


 「ほーい、ほい!」(魔法をかける時のおまじない)。「ただ、あなたがすごく、すごく、すごく大好き」など、聞いているこっちが恥ずかしくなるようなセリフさえ、「シン・ミナらしく」消化しシン・ミナは最近、幸せを噛み締めている。これまで、ドラマ『魔王』『このろくでなしの愛』や映画『10億』『ゴーゴー70』などに出演し、経歴を積み重ねてはきたものの、最近のような熱い声援を受けたのは初めてだからだ。

 これまでは男性より女性、それも若い女性たちに人気があったシン・ミナだったが、9月30日に最終回を迎えたドラマ『僕の彼女は九尾狐(クミホ)』(プ・ソンチョル演出、ホン・ジョンウン、ホン・ミラン脚本)により、一気に人気の幅を広げ、人気スターに躍り出た。

 「これまで、わたしのファンはほとんどが20代の女性だった。だからもう少し幅広い、親近感のある存在になりたかった。『僕の彼女は九尾狐』はそういう点で、わたしの望みをかなえてくれた。『シン・ミナ』という女優をもっとたくさんの人たちに知ってもらいたいという、わたしの思いとぴったり合った(笑)。だから今は、何だかほっとするとともに、大切な物を手に入れたような気分」

 人生はいつも自分の思いのままに進むものではないが、『僕の彼女は九尾狐』はシン・ミナという女優がより広い世界に進むための土台を作ってくれた。

 特に、演技力の面で一回り成長したという評価を得たのが、何よりの喜びだという。常について回る「CMスター」というイメージから抜け出すのにも一役買ったということだ。

 「いつも一生懸命頑張ってきたけれど、今この時点で、演技力であれ、自分に対する満足感であれ、何かを満たさなければならないという切羽詰った思いがあって、いつもつらかった。そんなとき、『僕の彼女は九尾狐』の話が舞い込んできた」

 「ドラマが放送された後、幸い、『シン・ミナがこういう演技を見せてくれるとは思わなかった』と視聴者の皆さんがほめてくれて…演技がうまいか下手かを離れ、わたしが変化し、成長しているという事実を皆さんが認めてくださったという点で、とてもうれしい」

 シン・ミナは「CMの中のイメージもいいけれど、どちらか一方に傾くことのない、女優としての姿を見せたかった」と強調した。


 もちろん、ドラマを撮影しながら、映画とは違う環境に戸惑ったこともある。せっかちな性格だとというシン・ミナは、長いセリフや生放送に近い撮影スケジュールがつらかったという。

 「かなり体力を消耗した。映画の撮影はとてもゆっくりしていて、公開も2カ月ぐらい先というスケジュールだけれど、ドラマは瞬発力を必要とする作業。最初は大変だった。でも、人間とは慣れるもの。演技がうまくなったという表現は少し変だけれど、短い時間でせりふを覚え、表現することに慣れたというか…。そして、あんなにたくさんのことをすべてやりこなした自分自身を見て、喜びを感じた」

 「倒れるんじゃないかと心配でどんどん食べていたら、太ってしまった」と話すシン・ミナは、目まぐるしく変わるドラマの世界の魅力にどっぷりはまっていた。ワンシーン、ワンシーン精魂込めて撮影するのもいいけれど、瞬発力のある作品を消化していく自分自身を見ながら、満足感を覚えたという。これについてシン・ミナは、「今ならすぐにほかのドラマも撮影できる気がする」と言って、いたずらっぽく笑った。

 それだけ今回の作品はシン・ミナを成長させてくれた。そのせいか、シン・ミナは最近、女優としての目標も高くなった。

 「たくさんの人たちが応援してくださるので、もっといい演技がしたいし、責任も感じるようになった。ファンの皆さんの期待を裏切らないように。だからこれからは、自分のために投資する時間を持とうと思う。女優シン・ミナであれ、一人の人間としてのシン・ミナであれ、完ぺきに近い自分を作り上げたいと思う」

 シン・ミナは最後に、「いつかは色っぽい魔性の女の役を演じてみたい」と抱負を語った。魔性の女はもちろん、より幅広い演技に挑戦し、次々と変身していくシン・ミナの成長ぶりを見守っていきたい。

キム・ジヨン記者
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